「検索では見つからない」情報に商機 街の最新データを届ける地図
「マンション建設中」「空き地が駐車場に変わった」など、街の最新情報を収集し、最短1ヵ月ごとに更新して地図データを提供する。「インターネットでは見つけにくい情報」にビジネスチャンスを見出したのが、大阪に本社を置くベンチャー、Reviewだ。
インターネットで検索するのが当たり前になった今、企業の営業活動において、「足で稼ぐ」やり方は過去のものと思われがちだ。
「ところが実際は、人海戦術に頼ることが多いようです。ネット上の情報量が膨大になって、SEO対策(検索で上位になるようにサイトを設計すること)を講じた広告記事が上位を占めてしまったり、何年も前の更新されていないデータが出てきたり......。情報の海に溺れることなく、目的のデータにたどり着くのが難しくなっています」
そう語るのは、Review(リビュー)の藤本茂夫氏CEOだ。同社が2018年10月にリリースしたサービス「macci(マッチ)」は、東京・大阪合わせて20市区(2019年4月時点)のマンションや戸建て住宅などの新築物件情報、店先に貼り出されている求人情報、空き地・更地情報、月極駐車場情報などを定期的に更新して、地図上に写真付きで表示してくれる。利用料は地図やリストの閲覧、行動記録などの基本機能のみで月額2万9800円~と、中小企業でも手を出しやすい価格設定だ。
営業の悩みと求職者の課題を
一気に解消するビジネスモデル
「macci」の原型となるサービスが生まれたのは、ケーブルテレビ会社からの相談がきっかけだった。その会社によると、引っ越しのタイミングで営業をかけたいが、建築確認申請は役所で公開してもらえないし、地域名を入れて新築マンションをネット検索しても、本当に"新築"であるかどうかは不明で、営業部隊が疲弊しているという。
当時、藤本CEOは人材派遣や採用代行の会社を経営しており、その相談は本業とは関係のない話だったが、「お客様のお役に立てるなら何でもやりたくて」。いかにも大阪人らしい世話焼き気質である。
奇遇にも、趣味でスマホ用の地図アプリを開発中という知人の協力を得たことで、新しいデジタル地図サービスの企画が具体化に向けて動き始めた。しかし、街の最新情報を集めるには、人海戦術に頼るしかない。事業化へのハードルは、情報収集にかかる人件費をいかにして抑えるかに絞られた。
常勤社員を雇うとコストが合わないため、「街を歩き回る作業を、楽しくて魅力ある仕事だと感じてくれる人はいないか?」と考えるうち、働く意欲はあるのに、フルタイムで仕事をするのは難しい主婦やシニアの活用を思いつく。
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