SDGsを地方創生に生かす 地域新電力で「豊かさ」を実現

「SDGs(持続可能な開発目標)」達成への取り組みが、全国各地で始まっている。地域の特性に沿ったエネルギー・インフラ会社「地域新電力」などを通じ、豊かな地域を実現するための議論がなされた。

「地域の特性を活かした地方創生SDGs~エネルギー・インフラのプロモーション活用~」と題したパネルディスカッションでは、長崎県壱岐市の白川博一市長、九州大学都市研究センター教授の馬奈木俊介氏、Looop(ループ)取締役戦略本部 本部長兼電力事業本部本部長の小嶋祐輔氏の3者が登壇した。司会は、先端教育機構事業構想大学院大学イノベーション推進局長の織田竜輔が務めた。

壱岐市は、全職員にアイデアを求めて事業の提案書を作成した結果、国の「SDGs未来都市」に選定され、国のモデル事業にも指定された。「一人も取り残さない」まちづくりで、人口増の実現を目指している。モデル事業は、6次産業化を目指し、1次産業の各工程にテクノロジーを組み込むものだ。白川市長は「モデル事業で導入した新技術が、経済、社会、環境の各分野で活用され、皆が活き活きとした島を実現することを目指します」と述べた。

白川博一 壱岐市長

SDGs達成に向けては、経済だけでなく、社会や環境についての評価が重要となる。「そこで、国や地域の本当の豊かさを計測する指標を検討しました」と馬奈木氏は話した。同氏らの研究グループは、経済指標では測れない真の豊かさを測る指標づくりに取り組み、「新国富指標」を作成。国連代表として「Inclusive Wealth Report2018(包括的な豊かさに関する報告書)」にまとめた。この新国富指標は、インフラや健康、教育、自然など全体の資産を計測、総合的に評価する。地方創生やSDGs達成推進の際に活用できるものとして期待されている。

馬奈木俊介 九州大学大学院工学研究院 主幹教授・都市研究センター長

分散型電源で地域を活性化

2011年4月に設立されたLooopは、太陽光を中心とした再生可能エネルギーによる発電所の設置や運営、電力小売事業などを手掛けている。小嶋氏は、SDGsにおけるエネルギーの在り方とLooopの事業視点から、地域生活サービスに必要なエネルギー・インフラについて話した。企業・自治体にとって再生可能エネルギーの利用は、SDGs達成の面から重要性が増している。また、2018年9月の北海道胆振東部地震後に発生した大停電は集中型電源に頼るリスクを浮き彫りにした。

小嶋祐輔 Looop執行役員 兼 電力事業本部本部長

再生可能エネルギーによる分散型電源を活用した地域新電力は、SDGs達成に貢献し、停電リスクも低減できる。さらに、「地域の中のエネルギーを地域に還元していくことで、地域の新しいビジネスにつながる可能性があります」と小嶋氏は説明した。最近の事例では、銚子市とLooopなど民間企業で、新しく銚子電力を立ち上げた。このような会社が、電力の供給と合わせて、地域の人々が必要とするサービスを設計・提供し、地域を活性化するという事業を同社は産み出している。

 

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