激化する自治体間競争に対応するため、自治体は外部のさまざまな主体と連携・協力していかなくてはいけない。その取り組みの1つが、「公民連携」である。そして、すべての主体にメリットがあることで、公民連携の持続性は担保される。
議会質問における
「公民連携」の経緯
いつから使われたか定かではないが、今日は自治体間競争(都市間競争)が激化しつつあると言われる。現実的には競争が起きているため、自治体は何かしらの対応が求められている。もちろん「競争しない」という選択肢もある。それは「負けていく」と同義語かもしれない(今回は自治体間競争の是非は検討しない)。
多くの自治体にとって、自治体間競争は単一団体だけでは乗り越えることができない。自治体間競争に対応するため、自治体は外部のさまざまな主体と連携・協力していかなくてはいけない。その一つが「公民連携」がある。
議会において「公民連携」が取り上げられた動向を確認する。筆者自身は、よく「公民連携」という言葉を耳にするため、議会において多く取り上げられていると考えていた。しかし実際は少なかった。図表1は、都道府県議会別に見た過去「公民連携」が取り上げられた回数である。東京都や神奈川県、大阪府など都市圏に位置する自治体が多くなっている。自治体間競争に苦悩しているはずの地方圏では公民連携が少ないようだ。
図表1 都道府県における「公民連携」の質問回数

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索
図表2は各都道府県議会における「公民連携」の質問回数の推移である。2004年に登場し拡大している。都道府県議会で初めて公民連携が登場したのは、2004年3月18日に開催された東京都議会の都市・環境委員会である。同委員会において「都が先行すべき5つの取り組みとして、まず新戦略を推進するためのガイドラインの策定、公民連携によるみどりと文化の拠点づくり、民間による新しいタイプの公園づくり…」という発言の中で公民連携が登場している。
図表2 「公民連携」の議会質問の推移

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索
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