ディープラーニングを超える「新しいAI」 人間の脳を再現
人間のように物事を『考える』ことができる「汎用AI」を開発するベンチャー、JAIRO。汎用AIとは、昨今話題になるディープラーニングの先にある技術と言える。IBMやGoogleも力を注ぐその市場で、JAIROは日本の競争力を高めることを目指す。
大手電機メーカーなどを経て、2016年4月にJAIROを設立した広口正之代表は、汎用AI(人工知能)特徴について次のように解説する。
「ディープラーニング(深層学習)をはじめ、今の人工知能はすべて専用AIです。それは、人間の脳を部分的に模倣しているにすぎません。汎用AIは、人間の脳全体を模倣するものです。最も違う点は、自分自身を変えることができるという点。人間と同じように、特に教えられなくても解決方法を自ら考えることができますし、間違っていたら修正することも可能です。ディープラーニングは大量のデータを用いて学習させる必要がありますが、汎用AIは人間が教材で学ぶように学習します」
汎用AIは日本が開発するべき
広口代表が汎用AIに関心を持ったのは15~16年前、ある書籍との出会いがきっかけだ。
「もともと、2002年頃に、レイ・カーツワイル博士の本『スピリチュアル・マシーン〜コンピュータに魂が宿るとき〜』を読んで、汎用AIのようなものが実現するだろうと考えていました。そのときは時期尚早で何もすることはありませんでしたが、2014年2月に松田卓也先生(神戸大学名誉教授)の『2045年問題』という本を見つけて、米国がかなり進んでいることに驚きました」
レイ・カーツワイル博士は「シンギュラリティ(技術的特異点)」の提唱者として知られる。シンギュラリティとは、AIが人間の知能を超える到達点のことであり、2045年頃にはシンギュラリティに到達し、世界が想像を絶する変化を遂げるという予測もある。汎用AIは、シンギュラリティを実現させる技術の1つだ。
米国も欧州もシンギュラリティに向けて突き進んでいる中で、広口代表が起業を決意したのは、「汎用AIは日本で開発しなければならない」という危機感があったからだ。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り65%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。