2018年9月号
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ローカルベンチャー

長野の老舗ベンチャー 切れ目なく新規事業を生み出す仕組み

田中 離有(カクイチ 代表表取締役社長)

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ホースや倉庫などの農業用資材から、ホテル、太陽光発電へと事業を拡大したカクイチ。自社のコアとは異なる、様々な事業の種を見つけ、事業として育ててきた。どうすれば連続社内起業が可能になるのか、5代目として事業を承継した田中離有社長に話を聞いた。

田中 離有(カクイチ 代表表取締役社長)

カクイチは、明治19年に長野県千曲市に開店した金物商にルーツを持つ企業だ。第二次世界大戦後、ホースやガレージなどの製造販売ビジネスを拡大。21世紀に入ってからは、ミネラルウォーター、小規模高級ホテル、太陽光発電などの新規事業に参入し、成功させている。国内外のグループ企業の従業員数は600人、グループ総売上は350億円。切れ目なく新規事業を立ち上げるエネルギーはどこから来るのか。2013年に、事業を承継した田中離有社長に話を聞いた。

――カクイチの最近の新規事業で、多くの顧客を集めている、太陽光発電事業ついてご紹介ください。

田中 東日本大震災後に、再生可能で分散型の発電システムがトレンドとなりました。そこで、誰もが得をするビジネスモデルとして考え出したのが、ガレージの屋根を借りて太陽光発電を行う事業です。自社製品のガレージの屋根に太陽光発電システムを設置することで、施工を簡便化・低コスト化できました。オーナーは賃料を得られるほかに、定期メンテナンスを受けられる、非常用電源の確保などのメリットがあります。発電した電気は電力会社に販売し、カクイチは売電収入を得ます。

現在の契約件数は1万3000件。1カ所の発電量は7キロワットほどですが、すべて合計すると90メガワット超と、メガソーラー並みの発電量になります。年間の売電収入は20億円強となっています。世界一の多くの「小さな発電所」を持つ企業になりました。

知恵の輪を解くように、考えに考えて生み出したビジネスモデルですが、結果的にこの事業では、自社の資産を有効活用することができました。オーナー候補の探索には、これまでにガレージを購入された10万件以上の顧客リストが使えましたし、施工にはガレージの施工班を当てました。アフターサービスも、100カ所以上の拠点にいる地元の営業マンに託すことができます。

この事業の経営を通じて、損益計算書(PL)を重視する経営から、貸借対照表(BS)重視の経営に転換しました。また、BSに表れない「社内の見えない資産(ネットワーク、人など)」を意識するようにもなりました。

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