「キレイ」が変わる 資生堂がテック企業に投資する理由

資生堂は近年、社内組織「資生堂ベンチャーパートナーズ」(CVC)を設立した。国内外のテック系ベンチャーに対する積極的な投資、M&Aなど、話題を呼んでいる資生堂が、ビューティー×テックで目指すものとは?

柏尾 権太(資生堂 ビジネスディベロップメント部 部長)

2018年1月、資生堂はアメリカのベンチャーOlivo Laboratories(以下、オリボ社)を買収した。オリボ社が開発した特許技術「セカンドスキン」は、ポリマーベースのクリームの上に専用の乳液を重ねて塗ると人工皮膚(セカンドスキン)が形成され、肌の凹凸が補正させるというもの。この技術によって、気になるしわやたるみを隠すことができる。この買収実現に大きく貢献したのが、資生堂のCVC「資生堂ベンチャーパートナーズ」も運営するビジネスデベロップメント部だ。

資生堂ベンチャーパートナーズは、2016年12月、資生堂が掲げるオープンイノベーションを加速する組織として新設された。その経緯について、ビジネスデベロップメント部部長にして、資生堂ベンチャーパートナーズを率いる柏尾権太氏はこう振り返る。

「弊社は独自の研究開発部門を持ち、長らく自前主義でやってきました。ビジネスデベロップメント部は2016年3月に新設されましたが、それまでの約5年間、弊社はM&Aをしていません。しかし、市場の変化が速く、激しくなっている昨今、自前主義ではどうしても対応が遅れることもあります。加えて、従来のM&Aプロセスではアプローチしきれないイノベーションも起きているのではないかという懸念がありました。そこで、チームで何度も議論した上で、弊社社長の魚谷雅彦の後押しも受け、ベンチャーを中心に外部と積極的に提携し、オープンイノベーションを進めるためにCVCが作られました」

期待される効果

柏尾氏が強調するのは、IPOやM&A等のイグジット(EXIT)によるキャピタルゲインを狙う組織ではなく、国内外のベンチャーと組むことで、資生堂本体が新しい価値を創出することを目的とした組織であるという点だ。資生堂の事業との相乗効果を図るため、美容領域を中心としながら、より新しく、美しいライフスタイルを作り出すことをテーマにソーシングを手掛けているという。

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