外資系金融から転身 ローカルビジネスの「連続起業家」の視点

『SELF TURN(セルフターン)』とは、企業規模や場所に捉われず、自分の生きがいという本質を探し、自分らしく働ける場を見つけ出すこと。5回目は、外資系企業を経て地域で起業した眞鍋邦大さんのケースを紹介。

眞鍋 邦大さん

ローカルビジネスの連続起業家

眞鍋邦大さん(39)は、東京大学大学院を修了後、リーマン・ブラザーズに入社して債券のトレーディングや営業を担当。渡米を経て、2012年に地元・香川の小豆島に移住し、地域おこしの会社459を起業した。瀬戸内海の素材をポン菓子にする『シマポン』や地域産品のカタログギフト『小豆島のギフト』などのローカルビジネスを次々と立ち上げ、2014年には『四国食べる通信』を創刊。その挑戦は、地域起業のモデルとして多数のメディアに取り上げられてきた。

2017年からは妻の出産を機に、妻の地元である兵庫県三田市に移住。隣接する篠山市で、人材育成やローカルビジネスに関与している。

新しい地域と環境に次々と飛び込んでいく眞鍋さん。「当然不安はあります。というか不安だらけですね」と笑う。それでも地域で働くことを選び続けるのは、眞鍋さんが「地方が輝く時代」の訪れを確信しているからだ。

「都会には情報と人が溢れすぎている一方で、地域にはわかりやすくチャンスが見えているし、チャレンジする人材も少ない。余白が沢山あるんです」

ここで言うチャンスは"仕事"とも言いかえることができる。「田舎には"仕事"がないと言いますが、それは誤解。仕事とは困り事の解決であり、田舎は沢山の困り事で溢れています」。ただし、"職"や"働き口"が田舎に少ないのは確かだ。求められるのは起業精神である。

今、目の前のことに全力を尽くす

「香川と篠山、それぞれの地域資源は全く異なりますが、埋もれた価値があるということは一緒。そこに光を当てる面白さも変わりません」

眞鍋さんは現在、篠山市と神戸大学による農村での起業人材育成プロジェクト『篠山イノベータースクール』のファシリテーターを務めつつ、神戸大学で博士号取得に向けた研究活動に取り組み、まちづくりやローカルビジネス創出にも関わっている。

「会社員時代に身に付け、今最も役立っているものは、知識やスキルではなく『緊張感』ですね」と眞鍋さん。結果にシビアでありつつ、仕事のスピードを上げることが、ローカルビジネスでも重要だ。また、「八方美人にならないこと」も肝心。「地域資源とは、文字通り地域と紐付いたモノ。さまざまなステークホルダーがいて、それを使う際には色々な意見が来ます。八方に対していい顔をするのは、裏を返せば自分を失くすこと。すべての人を満足させることはできないと割り切り、自分の想いを貫かないといけないときもあります」

真鍋さんに今後の目標やビジョンを尋ねると、「今のところありません」と驚きの言葉が帰ってきた。

「子育てが一段落する1-2年後までは兵庫で活動するつもりですが、その後のことは本当にわからない。よく経歴だけを見て誤解されるのですが、キャリアプランやビジョンを描くことは苦手なんです。僕が得意なのは『目の前にあることに全力を尽くすこと』で、それを続けていきたい。やりたいこと、やるべきことがあれば働く場所はどこでも良いと思っています」

場所にとらわれないワークライフスタイルは、これから時代、当たり前のものになるかもしれない。大切なのは、最初の一歩を踏み出す勇気だ。

 

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