大義を実現する鍵は、「知恵」と「工夫」

知事就任以来、矢継ぎ早に新方針を示し、行動に移す小池百合子・東京都知事。その基本構想とは、一体どのような考えに基づくものか?本誌編集部が単独インタビューを行った。

小池 百合子(東京都知事)

――知事が提唱される基本姿勢「都民ファースト」とは、どのような考え方でしょうか。築地移転延期の是非を決定する際にも、この基本姿勢に基づいての決断だったと思いますが、その基本的な考えをお聞かせください。

小池 私の選挙区が東京都になって11年ほどたちます。これまで東京の小選挙区の中で、東京都連の一員として、いろんなお祭りを見たり、待機児童の話を聞いたりしながら、東京の都政そのものにも関わってきました。知事選で「東京大改革宣言」を全面に出したのは、国政に携わっていた時に、「これはやりたい」と思っていたことを、都知事として、ぜひ政策で実現したいと考えていたからです。結果として、300万票近いご支持をいただきました。

「東京大改革宣言」の1ページ第1章は「情報公開」です。レディーファーストならぬ、"都民ファースト"という切り口で情報を公開すると、いろんなことが見えてきます。都民のお金がどのように使われているのか。それによってどのようなリターンがあり、将来どのような方向に進んでいくのか。

そうしたことを都民のみなさんにお知らせすれば、都政への興味が湧いてきます。これまで、都政について、みなさんあまり考えてこなかったのではないでしょうか。今は、"幸いにも"と言いますか、マスメディアが都政に関するありとあらゆるニュースを報道してくれています。これまでほとんどゼロに近かった都政関連の報道が、今は100万倍にも感じるほどです。ネットにもいろいろな情報が湧いたように出てきています。その意味では、ひとつ扉を開けたのかなと思っています。こうしたニュースを見て、初めて都政についていろいろと考えるようになった方も多いのではないでしょうか。こんなに無駄遣いをしていたのかと驚いたり、安全面は大丈夫かと心配したり...。そのような中で、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会は成功させたいという、皆さんの思いが高まってきているようです。

東京五輪のレガシーづくりは、パラリンピックに比重を

――「都民ファースト」は、都政のひとつの理想形だと思います。もう少し詳しくお聞かせください。

小池 人口動態で見れば、団塊世代が後期高齢者に入る節目が2025年です。東京大会はその5年前の2020年に開催されます。私の設計図では、東京大会はパラリンピックに比重をかけた形になっています。そうすれば、まさしく東京のレガシーづくりになるのではないかと思っているからです。ひとつの会場の後利用によるレガシーはどれくらいあるのか。今、各メディアも揃って分析をしています。都民ファーストで言えば、「東京」という会場に、みなさん暮らしているわけですよね。そうであるならば、東京という会場そのものがレガシーになるとは、いったいどういうことなのだろうか。そう考えていった時に、私が唱えている「3つのシティ」を作っていくことに他ならないのではないかと思いました。

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り77%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全文読むことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。