地域固有の資源を発掘し観光交流人口の拡大目指す

日本を訪れる外国人旅行者は年々増加し、年間2000万人に迫る勢いだ。政府は受け入れ態勢をさらに整備し、今後は特に、多くの外国人旅行者に地方を訪れてもらい、観光交流人口を拡大させ、地方活性化や経済振興につなげることが期待される。地域の資源を発掘し、体験型・交流型の要素を取り入れる旅行形態の「ニューツーリズム」への注目も高まっている。
(聞き手:事業構想大学院大学学長・田中里沙)

 

田村 明比古(観光庁 長官)

高まるインバウンドへの期待国内の意識にも変化

―近年、訪日外国人旅行者が非常に増え、経済効果も表れています。その成功の要因は何でしょうか。

政府はこれまで、外国人が日本を訪れる「インバウンド」に関心を向けていない時期が長かったと思います。1970~80年代には日本の製造業の輸出競争力が非常に強く、貿易黒字が積み上がっていました。このためインバウンドで外貨を稼ぐより、貿易黒字を減らすため、日本人に海外旅行に行ってもらうことを重視していました。

しかし、高度成長期が終わってバブルが崩壊し、改めて見直すと、日本以外の国々はインバウンドに注力してきていました。やはり、日本でもインバウンドは重要ということに気付き、力を入れることになったのは今世紀になってからです。

最近のインバウンドの増加については、環境的な要因と政策的な要因の双方がプラスに働いてきたことが背景にあります。世界では海外旅行に行く人口が増え続けており、昨年だけで11億8000万人が海外旅行をしています(図1)。これが2030年には、18億人に増えるという予測もあります。

その背景にはやはり、途上国、特にアジア諸国の経済成長があります。それによって中間所得層が増え、海外旅行に行く人も増加しました。そのような国々が近隣にあるのも、日本にとって有利な状況です。

また、格安航空会社(LCC)の普及による影響も大きいと思います。東南アジアでは、航空市場に占めるLCCの割合が6割近くになっています。さらに直近で言うと、為替の変動によって、訪日しやすくなった人たちもいます。

これらの客観的な条件に加え、日本政府も訪日外国人旅行者を増やすための政策を進めてきました。例えば、近隣のアジア諸国に対するビザの要件緩和や、日本への旅行に関するPRの促進、消費税の免税制度拡充、そして長蛇の列ができる入国審査の担当官増員などの対応をしています。このように、ここ数年は政策的な努力と客観的な情勢の双方が、うまくかみ合ってきたと感じます。

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