2016年6月号
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プロジェクトニッポン 群馬県

揺らぐ「ものづくり県」次の一手は? 群馬の強みと弱みを分析

嶋田 淑之(自由が丘産能短期大学・教員、文筆家)

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自動車産業を中心とした2次産業が集積する「ものづくり県」として存在感を発揮する群馬県。グローバル化や人口減に対応するためには、地場の“志ある”中小企業によるイノベーティブな挑戦が不可欠である。

「赤城の山も今宵限り、生まれ故郷の国定村や、縄張りを捨て国を捨て、可愛い乾分(こぶん )の手前(てめえ) たちとも、別れ別れになる首途(かどで)だ」

講談や新国劇の題材として人気を博した「国定忠治」の一節。ここから赤城山の名は全国に広がり、「赤城の子守歌」などの大ヒット曲を生み出した。

大ヒット曲の題材といえば尾瀬もある。「夏の思い出」に謳われた「夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 とおい空」を知らない人はいないに違いない。

また、登山家にとって、世界最多の遭難者を出してきた“魔の山”谷川岳は、印象深い存在だろう。

群馬は、まさしく“日本屈指の豊かな自然”に恵まれた県である。

草津・伊香保・水上・四万をはじめ100を超える温泉群には、今では稀少となった自噴泉も残り、温泉好きを魅了してやまない。

そんな同県は、同時に、「ものづくり」の分野でも、特筆すべき存在であり続けた。「富岡製糸場」は、明治期、フランスから導入した技術をベースに技術革新を繰り返し、20世紀、世界最高水準の生産技術を誇った。

また、中島知久平が1917年に興した「中島飛行機」は、戦前・戦中の軍用機開発において世界最高水準であり、その技術は戦後、同県自動車産業の隆盛に繋がった。そして、今なお、群馬県の2次産業は、工場立地件数全国3位(2015)を誇り、県民総生産の4割を占めている。しかし、同県の産業は今、曲がり角に立っている。

低迷する観光業、揺らぐ「ものづくり」

群馬県は、運転免許保有者数・保有自動車台数において「日本一」を誇る“マイカー県”である。それは換言するならば、「在来線(鉄道)や路線バスなどの公共交通網が著しく未整備ないしは衰退している」ことを意味する。鉄道旅客域内移動率(2013)38位、乗合バス旅客輸送量(2013)47位、バス通勤・通学率(2010)47位というデータにもそれは明らかだ。しかも、主要道路舗装率(2011)30位と、一般道の整備は遅れている。

これは、観光業の文脈で捉え直すならば、「2次・3次交通の未整備・衰退」を意味している。団体旅行の時代が終わった今、大型バスを連ねて来るケースは激減し、少人数の個人客が主体だ。そんな彼らが、せっかく新幹線などで観光地の最寄駅に着いても、その先の移動手段が乏しいのだ。そのため、同県の観光業は“マイカー来訪者”に依存し、東京圏からの来県を主体とせざるを得ない。

それは、取りも直さず、上記のような圧倒的な観光資源を有しながら、公共交通機関で来県するはずの遠来(国内外)の観光客を取り逃がしているということであり、その機会損失は莫大だ。実際、同県への観光客数は減少傾向にあり、特に宿泊者数の持続的減少(=「日帰り中心」化)とインバウンドの低迷は深刻である。

超高齢化が進展してゆくことを考えるならば、今後、マイカー来県者の長期的減少は避けられず、県観光はさらなる衰退へと追い込まれかねない。

一方、「ものづくり」の分野においては、中島飛行機に源を発する自動車関連産業(や電気機器関連産業)への依存度の高さを、どう克服してゆくかが課題となっている。

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