農作物ではなく「農作業」を売る 農業再生の新アイデア

「農作物」ではなく「農作業」を売るという独自の発想にITを組み合わせた農業サービス「遠隔農場テレファーム」。愛媛県で生まれた独創的な事業モデルは、衰退の一途をたどる日本の農業に新しい息吹を吹き込む。

1区画500円から野菜を育てられる「遠隔農場テレファーム」

遠隔農場の利用画面。生産者にはスマホなどで作業指示が届く

遠隔農場・テレファームは、自宅のパソコンや携帯、ゲーム端末などを使って、インターネット上で有機野菜の遠隔栽培を行えるWebシステム。作物の選択や作付け、収穫などWeb上での指示を契約農家がキャッチ。実際の農場で栽培し、収穫した野菜が自宅に届く。また、Web内のマーケットで、収穫した野菜を販売することもできる。

このサービスを構想したテレファーム代表・遠藤忍氏は「農業の問題点は、収入が少なく安定しないことです」と話す。

農作物を栽培し、売ることで収益を上げるのが農業。しかし皮肉にも、農作物を売るから、天候・相場・作物の出来不出来に左右され、収入が安定しない。「それならいっそ、農作物を売るのをやめればいいのでは、と考えました」。農作物ではなく、農業で唯一安定している農作業に課金し、栽培サービスとして三次産業化し提供する。テレファームは、逆転の発想から生まれた事業構想だ。現在、約3000人がユーザー登録し、愛媛県内の農場で思い思いに野菜を栽培している。

遠藤 忍 テレファーム 代表取締役社長

生産者に安定収入を実現

検査技師として医療業界に7年勤めた遠藤氏は、検診で中山間地や離島を訪れ、独居高齢者の厳しい生活を目の当たりにした。「過疎地に住む高齢者の収入を少しでも増やすことができないか。村に活力を取り戻せないか」と考えたのが、会社を立ち上げるきっかけだ。

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