2014年4月号

防災を変える技術とアイデア

災害対策へ即応力を強化

内閣府(防災担当)

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東日本大震災を教訓に、2度にわたる改正が行われた災害対策基本法。同法の昨年6月の改正を受け、今年1月、防災基本計画が修正された。行政・民間の一体的な取組みなどを打ち出している。

2014年1月の防災基本計画の修正では、円滑な避難の実現に向けて、緊急避難場所の指定などが盛り込まれた

災害対策基本法に基づき制定される防災基本計画。さまざまな防災に関する政策について、防災基本計画では、具体的に「誰が何をするか」を明確にしている。

内容は、各種災害に対し、防災の基本要素ともいえる「予防」、「応急」、「復旧・復興」の段階ごとに整理されており、各都道府県や市町村、企業などは、この防災基本計画をもとに各自防災に関する計画を組み立て、対策をしていくことになる。

その防災基本計画の今回の主な修正項目について、内閣府防災担当政策統括官付参事官補佐の城麻実氏は次のように語る。

「大きな修正は、大規模災害への対策強化、原子力災害への対策強化の2点で、このほか、計画の構成の見直しを行いました。東日本大震災後、今回で3回目の修正です。

まずは2011年12月に、東日本大震災で大きな被害をもたらした津波対策の強化をするため、津波災害対策編の新設を行いました。2012年9月の修正、そして今回の修正では、2度にわたり行った災害対策基本法の改正による大規模災害への対応力強化の内容を盛り込んだほか、原子力災害対策の強化を行いました。このように防災基本計画では、国民の生命と財産を守るための具体的な政策を、随時盛り込んでいます」

円滑な避難への仕組みを構築

今回の主な修正の視点である「大規模災害への対策強化」では、6つの点からの修正が行われた。

修正の一つ目は「防災の基本理念の明確化」で、被害の最小化を図る「減災」の考え方や多様な主体が一体となって災害に取り組むなど、防災の基本的な考え方を示している。

2つ目は「即応力の強化」。緊急事態に政府が一体となって対策を進めるための基本方針の作成や、機能が大きく低下した地方公共団体を国が応援・代行するという内容を盛り込んでいる。

3つ目は「住民の円滑な避難」。一時的に危険から逃れるための指定緊急避難場所や、必要な個人情報を利用しながら避難に支援が必要な人の名簿を作成し、いざというときの円滑な避難に備える。

4つ目は「被害者保護対策の改善」。被災者が安心して滞在できるよう、避難所の環境整備を図るための指定避難所について位置付けたり、被災の程度を証明する罹災証明書や、被災者の支援状況を一覧する被災者台帳の作成などについて定めた。

5つ目は「平素からの防災への取組みの強化」。企業と行政の協定締結などによる連携や、住民・事業者が地区単位で自ら防災計画を作成し、防災訓練を行うことなどを位置付けた。

最後に、「大規模な災害からの円滑かつ迅速な復興」。大規模な災害発生時に、円滑・迅速に復興が行えるよう、その枠組みをあらかじめ用意すべく、国の復興本部や市町村が作成する復興計画などの復興の枠組みについて定めている。

このほか、原子力災害対策の強化についての修正が行われた。原子力災害は、東京電力福島原子力発電所事故を教訓に、2012年9月に原子力規制委員会が設置され、さまざまな検討が行われてきた。

その検討結果を踏まえ、原子力災害対策重点区域における屋内退避や避難などの防護措置の実施内容や、原子力施設の状況に応じた緊急事態の区分設定、空間線量率等に応じた避難等の運用上の介入レベルの設定などを盛り込んだ。

必要なのは自助・公助・共助

このほか、全体に関して、防災基本計画の構成そのものも見直している。従来は末尾に前編まで以外の「その他災害に共通する対策編」としていたものを、災害別の各編の冒頭に移動させて「各災害に共通する対策」として位置付けたほか、「防災業務計画および地域防災計画の重点」を、計画のもっとも基本部分である総則に位置付け、東日本大震災以降の防災対策の検討の中で特に重視すべき点を明確化した。

「防災基本計画は法の実効性を高めるための一つの重要な手段であり、各主体の役割分担を明確にしています。今後、防災基本計画を踏まえ、国、地方公共団体といった行政だけでなく、民間事業者や住民の皆様など、さまざまな主体とともに、一体となって防災対策を講じることが極めて重要です。

企業であれば、たとえ被災しても、自社の事業を継続するためのさまざまな備えを講じておくことが必要ですし、今回の防災基本計画でも盛り込んだ『地区防災計画』のように、地域の一員として、地域防災力に貢献することも望まれます。特に、災害応急対策に関わりの深い企業には、引き続き、ぜひ協力いただければと思います。

『自助』、『公助』、『共助』の組み合わせによって災害を防ぎ、また、いざ起こったときに少しでもその被害を減少させ、迅速に回復することが、防災対策には必要不可欠です」(城氏)

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