社内の「宝」を起業に活かす

社内で起業するのは、独立してから起業するのと比べて、どのような違いがあるのか。社内起業の成功体験を描いた『プロフェッショナルサラリーマン』の著者は、「ブランド力と資金力」を社内の強みとして挙げる

社内ベンチャーでの成功とノウハウを描き、2011年11月に発売されてベストセラーになった『プロフェッショナルサラリーマン』。現在、独立して講演、執筆、私塾運営、コンサルをする傍ら、複数のフランチャイズ経営も手がける著者の俣野成敏氏は、自身で社内起業した経験を持つ。

俣野成敏
「プロフェッショナルサラリーマン」著者

俣野氏は大手時計メーカーのシチズンで、02年、31歳の時に社内ベンチャー制度を利用して同社初のアウトレット販売を手がけ、大きく売り上げを伸ばして33歳にしてグループ130社の現役最年少役員に抜擢された。しかし、社内起業は決して前向きな気持ちからではなかった。

「社内ベンチャーにもいろいろな形があると思いますが、私が社内起業を考えたのは、会社が50年ぶりの赤字に転落した時でした。30歳以上の社員のリストラが始まって、ちょうど30歳だった自分も対象になったんです」

俣野氏の選択肢は3つだった。転職するか、独立して起業するか、会社に残るか。消去法で会社に残る道を選んだ。

とはいえ、終身雇用という幻想が崩れた状態で、漫然と仕事をしていればいつ路頭に迷うかわからない。強烈な危機感を抱いた俣野氏は、赤字転落を機に創設された社内ベンチャー制度で起業をすることを決意した。

ゴミ扱いの在庫を商品に

この時、俣野氏の頭には一つのアイデアが浮かんでいた。

「メーカーの基本戦略として、余るのが前提で大量生産して見込み発注をします。当然、売れなければ新品の状態で大量に在庫になります。それとは別に、造ったのに出荷もできない出荷残というものもある。これをどうにかできないかと考えていた時期、ちょうど2000年にオープンした御殿場プレミアムアウトレットが、一流ブランドの品揃えで爆発的なブームになっていたんです。そこでアウトレットモールで在庫処分扱いの時計を売ろうと思いつきました」

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