「新・ものづくり」特区で次代の芽を育成

数々の世界的企業を生み、育ててきた浜松市。ものづくりのDNAを継承し、さらに発展させるために特区制度を活用して農業の競争力強化と新産業の集積を目指していく。

─浜松市の課題をどのようにとらえていますか。

浜松市はものづくり都市として知られ、ここからスズキ、ヤマハ、本田技研工業、河合楽器製作所、浜松ホトニクスなど世界的企業が生まれました。

一方で農業も充実し、農業と工業がバランスよく発展してきた地域です。ものづくりは繊維、楽器、輸送機器と時代にともない転換してきましたが、産業構造が変化している今、また新しい産業を育成しなければならないと思っています。そのための戦略的な取り組みが特区であり、産学官の連携によるイノベーションです。

農業と工業をバランスよく

─2011年に浜松市は、"未来創造「新・ものづくり」特区"の指定を受けました。構想では、農業の産出力強化と新産業育成を打ち出していますが、これまでの進捗はいかがですか。

すずき・やすとも/1957年生まれ。80年慶應義塾大学法学部卒業、松下政経塾入塾(第一期生)。企画会社経営を経て、00年衆議院議員。07年に浜松市長に就任。

浜松市の特性に合った効果的な土地利用を通して、農業・工業ともに振興していくのが特区の特長です。

浜松の農業は野菜や果物、花といった付加価値の高い農産物の割合が多い。

積極的な農家に生産手段を集約、新たな担い手として企業の参入も促し、農業を活性化させることを目指しています。

その一方で特区としては、使われない農地を新しい工業用地に転用していきたい。しかし現実にはそこが難しい。

農地関連法の改正などで農地転用が非常に困難になっています。農林水産省に規制緩和を申し入れていますが、実際には特区の制度をもってしても不可能でしょう。

しかし我々の申し入れに農林水産省も一定の理解を示してくれています。

『市の提案による市街化調整区域での農振除外・転用、大規模な工場用地の造成は現行法の運用で対応できる』という回答をもらいました。

地盤の強固な三方原台地への企業の移転希望が増えている

そこで特区の理念を実現する場所として施策を進めているのが、三方原台地です。浜松では地震や津波のリスク回避から、地盤が強固な三方原への移転を希望する企業が増えています。東名に加えて新東名も開通し、工場誘致に最適な土地です。

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