アートで「まちの魅力」を再生

大阪に新たな「創造の拠点」が続々と誕生している。土地の歴史や培われてきた文化に注目し、地域の資源を活かしたリノベーションで、新たな価値を生み出している。

中之島を中心に、堂島川、土佐堀川の他、安治川や大川の一部が国土交通省による「社会実験区域」の指定を受けたことにより、民間事業者による河川空間活用の枠組みができた。そして、大阪府による事業コンペを経て、民間の手によってデザインとクリエイティブをコンセプトに、新しいエンターテイメント空間が誕生したのだ。それが、「中之島バンクス」である。

新たな水都ブランドの創出

中之島バンクスは、堂島川左岸の堂島大橋から玉江橋までの全長400mの河川敷に位置する親水空間だ。2008年、京阪中之島線建設の復旧工事に併せて創出された。

水辺の複合施設、中之島バンクス。国土交通省による「社会実験区域」の指定を受けたことにより、河川敷地を利用した空間創出の可能性が広がった

事業主である株式会社長古堂の代表取締役・金木政浩氏は、「他と似たような商業施設をつくっていたのでは、4~5年もすれば飽きられてしまいます。そこで私たちが目指したのはパフォーマンス性の高い、長く愛される空間の創出でした」。

そのためには、「文化・情報発信の要素が不可欠」だと、金木氏は語る。

中之島バンクスでは、「建物の息吹」という画期的な考え方による空間演出を試み、植物の自然な芽吹きのように建物と建物の間に無秩序な「間(ま)」をつくり出した。ここに多くの人々が集い、つながりが生まれることを願っての情緒的演出だ。

中之島バンクスは、今夏でちょうど開業4年を迎える。

金木政浩 長古堂代表取締

「大阪出身のアーティストは、東京や海外などでも精力的に活躍しながら、拠点を大阪に置いている人が多いんです。そういう人たちの活躍の場として発展させたい」

これが、金木氏の現在の強い思いである。

また、訪れる人々に、水辺ならではの楽しみ方を提案することも、中之島バンクスが背負う役割の一つだ。

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