文化と伝統の観光都市へ

政府のさまざまな委員を歴任し、地域の観光施策に造詣の深い帯野久美子氏は、「大型観光ビジネスの幻想」からいち早く脱却し、文化・伝統に基軸を置いた小さな観光資産を積み重ねることが重要と説く。

それぞれの願いや祈りを込めて、LEDの光の球を放流する「天の川プロジェクト(R)」。七夕の日、大川は光り輝く天の川になった

観光立国として日本が進み始めた当初から、政府のさまざまな委員を歴任し、また今も活動の拠点を大阪に置くインターアクト•ジャパン代表の帯野久美子氏は、まず観光という概念を見直す時期に来ていると指摘する。

「2010年の小泉内閣時代に、観光立国というコンセプトが具体化に向けて動き出しました。その時によく言われた『住んで良し、訪れて良し』というキーワードが、今の時代に一番重要なことだと思っています。まず住み良い街づくりをいかに実現していくか。そこから観光というテーマに切り込んでいくべきだと思います」

文化の化は変化の化

そして、現在、大阪だけでなく日本全体が問題視する少子化、そして高齢化という人口構造の大きな変化に対して、帯野氏はこう提言する。

「少子高齢化は、実は社会が成熟してきている証左でもあります。いわゆるヨーロッパ的な社会構造に変化してきているわけです。その成熟社会への移行に、政府や行政がついていっていないのが現状だと思います。観光でいえば、もう団体旅行による大量消費のモデルは幻想です。人々が観光に何を求めているのか、それは癒しであったり安らぎであったり、あるいは絆であったりするのが、今のトレンドです。それらの根本には、文化と伝統というファクターが必須です」

文化や伝統は高度経済成長期に忘れ去られ、一部壊されもしたが、それでも日本のあらゆる地域に点在していて、それが今、人々のこころの拠り所になりつつあると帯野氏は語る。

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