「伝統技術ディレクター」の仕事術 そこに「ある」強みを世界へ

全国各地にいる職人の技を活かし、デザイナー・建築家とも連携しながら、新しいモノづくりを展開している伝統技術ディレクター、立川裕大氏。「そこにしかない」価値を発信し、伝統技術の新しい可能性を広げている。

東京スカイツリーに展示されたアートワーク「TOKYO SKYTREE SUPER CRAFT TREE」では、日本各地の12種類の素材・技術を使って、12体のオブジェを制作

――立川さんは、「伝統技術ディレクター」という肩書を名乗られています。

立川 私の仕事は、各地の伝統技術の職人とデザイナー・建築家をつなぐことです。いわばハードウェア(伝統技術)とソフトウェア(デザイナー・建築家)をつなぐ“ミドルウェア”の役割です。

プロジェクトごとに、家具・照明・アートワーク・内装材など、デザイナーや建築家が追い求めるプロダクトを実現できる職人を探し出し、技術の提案を行って、フルーオーダーのモノづくりを行います。当社では、こうしたプロジェクトを「ubushina(うぶしな)」と称し、2000年から展開してきました。

「ubushina」とは、「産土(うぶすな)」という古語の同義語で、「その人が産まれた場所」というアイデンティティを象徴します。「ubushina」は、その地域でしかできないこと、その職人でなければできないことを追求するプロジェクトなのです。

立川裕大(たちかわ ゆうだい)t.c.k.w 代表取締役、伝統技術ディレクター / プランナー

伝統技術を「編集」して提案

――これまで、どのようなプロジェクトに携わってきたのですか。

立川 東京スカイツリーの4階・出発ロビーの大きな壁面に展示されているアートワーク「TOKYO SKYTREE SUPER CRAFT TREE」では、デザイナー橋本夕紀夫氏のコンセプトを元に、12体のオブジェそれぞれに、日本各地の12種類の素材・技術(竹細工、漆、和紙など)をふんだんに取り込みました。

また、新宿・伊勢丹の1階の吹き抜けスペースに展示する、女性のファッションアイテムをワイヤーメッシュで表現したオブジェを手掛けたり、東京パレスホテルの錫粉漆塗りのカウンターを制作したほか、目黒のホテル「CLASKA」のリノベーション企画や、高岡の鋳物メーカー「能作」のブランディングディレクションなども手がけています。

新宿・伊勢丹の吹き抜けスペースで、女性のファッションアイテムを模したワイヤーメッシュを展示

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