日本の素材産業を世界で揺るぎない存在に 自己変革で企業価値を高める

東洋紡と三菱商事の共同出資で設立し、2023年4月から事業を開始した「東洋紡エムシー」。東洋紡の技術力と三菱商事の海外ネットワーク・経営ノウハウを掛け合わせ、機能素材をグローバルに展開することで、日本の素材産業の存在感をアピールする。新たな船出へ向けたビジョンや経営戦略を聞いた。

森重 地加男(東洋紡エムシー代表取締役 社長執行役員CEO)

2023年4月、東洋紡と三菱商事が共同で設立した新会社「東洋紡エムシー」が事業を開始した。出資比率は東洋紡51%、三菱商事49%。

脱炭素化の進展や産業構造の変化、技術革新の加速など、素材メーカーを取り巻く環境は急速に変化している。顧客ニーズが多様化するなか、両社は東洋紡の製品・技術開発力と三菱商事の幅広い産業知見・経営力を掛け合わせ、業界の垣根を越えて持続可能な社会の実現と事業の成長を目指すことで2022年3月24日に合意。その後、約1年にわたり経営方針や事業戦略に関する詳細な議論を重ね、事業開始に至った。

新会社の社長に就任した森重地加男氏は「東洋紡としては、今まで以上の成長を目指すため、グローバルな知見や情報を手に入れたい。三菱商事の方は、トレーディングだけでなく、素材産業そのものに入ることで産業の付加価値を上げていきたいということで、両社の思惑が一致しました」と話す。

東洋紡からは12の機能素材事業を分割。新会社の東洋紡エムシーは、経営ビジョンを「高機能素材で世界の課題を解決する」と定め、機能素材業界の枠に捉われないビジネスモデルの共創やアライアンスの検討を進め、絶え間ない変革を続けていく。

開発、生産、販売と段階を踏んでものづくりをしていくメーカーから見ると、できたものを売って、ダメならすぐに変更してという商社のスピード感は、これまでにないものだ。

「両者とも新しい文化のなかで、どう融合していくかが重要です。ただ、事業を広げるには生産キャパシティは必要ですので、我々としては今のキャパをフルに活かした上で、M&Aなども視野に入れ、いかにプラスαを作っていくか。同時に、三菱商事のネットワーク、チャネルを活かして、販売先となる出口をどれだけ捕まえてくるか。両方をタイミング良く進めていくことが重要だと考えています」。

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