フコク 世界トップクラスの技術生かし、広がる事業領域

雨天や降雪時にフロントガラスをふき取り、自動車ドライバーの視界を確保するためのワイパー。フコクはそこで使われるワイパーブレードラバーのOEM生産で国内シェアをほぼ独占し、世界シェアでもNo.1。材料、表面改質、加工などのコア技術をベースに事業領域を広げている。

大城 郁男(株式会社フコク 代表取締役社長)

自動車産業の発展とともに
事業も拡大

1953年に富国ゴム工業として創業し、防振ゴム部品の製造からスタートした。戦後、自動車生産が増えつつある中で、当時ワイパーにおいてフロントガラスとゴム(ワイパーブレードラバー)の摩擦抵抗を下げたいという要望があり、創業者がフロントガラスの上を滑らかにすべるよう表面処理を施したゴムの開発に成功したのが1956年のこと。「当社にとってこの開発が最初のターニングポイントになりました」と社長の大城郁男氏もその意義を強調する。1955年から60年にかけて、日本の自動車生産台数は7万台弱から48万台へと大きく増える。1957年、埼玉県川口市に工場を構えたフコクは、高度経済成長とモータリゼーションの波に乗って受注を獲得し、成長を遂げていくことになる。

自動車に使われるワイパーブレードラバー。この開発がフコク飛躍の大きな要因になった

「Yes, We Do!」という創業の精神のもと顧客のニーズに応えて製品群を増やしていった同社。次なる飛躍のきっかけとなったのが新幹線向けの軌道パッドだ。レールと枕木の間に敷いて、車両通過時に発生するレールの振動を緩衝するゴム材で、周囲の振動や騒音を低減する一方、乗り心地も改善する役割を果たす。国鉄(現JR)との取引が始まったことでさらに成長は加速した。

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