地域のまとめ役「観光プロデューサー」の重要性

地域の魅力発信事業「ジャパンプロジェクト」に取り組むJAL。事業担当者であり、各地の観光の実情に精通する二木氏は、2020年の東京五輪に向けて行政・企業・住民を束ねるプロデューサーの育成が必要と指摘する。

13年の外国人宿泊者が前年比80%増となった和歌山県。中長期で取り組んだ誘致戦略が実を結んだ(熊野古道)

ジャパンプロジェクトとは、毎月、日本のひとつの地域を取り上げ、その文化、伝統、風景、食、人に焦点を当てて、1ヵ月にわたり機内誌、機内ビデオ、機内食、ウェブサイト、空港ラウンジなどで集中的に紹介し、地域振興を図るものだ。

2011年5月にスタートしたこの企画は、取り上げた観光地の需要創造はもちろんのこと、地域・行政・企業を巻き込んだ新たなコラボレーションにもつながっている。例えばJTBや星野リゾートと提携して旅行商品を開発したり、横浜市とは外国人観光客誘致のための共同事業を立ち上げたりしている。

JALの顧客マーケティング本部宣伝部企画媒体グループ長・二木真氏は、「エアラインにとって地域活性化への貢献は使命です。ジャパンプロジェクトを地域の魅力発信のひとつのきっかけにして欲しい」と語る。そして、そのきっかけを活かすことに成功した地域には共通点があるそうだ。

観光で伸びる地域の共通点

「和歌山県、鹿児島県、兵庫県の豊岡市などはジャパンプロジェクトをうまく発展させて、成果を生み出していると思います。これらの地域に共通しているのは、地元をうまくまとめ上げている旗振り役がいること。その多くは自治体の職員で、知事や市長の直下で長い間、地域振興に携わり、地元に入り込んで多くの人を巻き込める人物です。その人がいることで、一過性ではない効果的なプロモーションが生まれています」

二木 真 JAL顧客マーケティング本部宣伝部企画媒体グループ長

例えば11年9月にジャパンプロジェクトで取り上げた和歌山県は熊野古道を国内向け、高野山を海外向けにPRするという広報戦略を立て、JALだけでなくJRや旅行会社とも連携し、継続的にプロモーションを行った。

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