温暖化に対抗しうる、建築家が考えた3つの独創的なパッシブデザイン事例
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年9月4日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
英国がまたしても記録的な猛暑に直面する中、私たちは温暖化する世界の気候変動に対応できる建築の必要性を痛感している。
過去数十年にわたり、建築家たちはパッシブデザイン戦略を取り入れてこの課題に対応してきた。パッシブデザインとは、太陽光や風といった自然の資源を活用し、エアコンなどのエネルギーを大量に消費する手段に頼らずに、室内環境の快適さを実現する設計手法である。
世界中の建築家たちは、地域の気候や文化的背景に応じた設計を進めるだけでなく、持続可能なデザインの限界を押し広げるデザインを開発している。中には、建物の立地や地元で手に入る素材を活用する伝統的な建築様式である「ヴァナキュラー建築」にインスピレーションを得る例もある。また、自然界に学び、生態系の戦略を人間のデザイン課題に応用するバイオミミクリー(自然界の生態模倣)の手法を用いる設計者もいる。ここでは、そのような3つの事例を紹介する。
1. シロアリ塚にヒントを得た換気
Startup Lionsキャンパスは、ケニアのトゥルカナ湖畔にある、農村部の若者が情報通信技術(ICT)を学ぶキャンパスである。
この建物は、現地に見られるアフリカのシロアリ塚に着想を得ている。シロアリ塚にはトンネルと通気口のネットワークがあり、冷たい空気が建物の土台部分にある小さな開口部から入り、暖かい空気は中央の煙突を通じて上昇し、外に排出されることで内部環境を安定させている。
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