気候変動が大きな要因 米の住宅保険料の急上昇が止まらない
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年9月24日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
何百万人という米国人が、住宅保険料が上昇し、補償適用範囲が縮小していくのを不安に思いながら見守っている。全米において2017年から2023年にかけて住宅保険料は34%上昇し、多くの地域では2024年も上昇し続けている。
さらに悪いことに、請求すると保険料はさらに高くなり、もし住宅の全損を請求した場合は25%上乗せされることもある。
なぜ、このようなことが起きているのか?
いくつかの要因が挙げられるが、共通するのは気候変動が悪天候を助長し、保険会社が損害請求の増加に対応しているということだ。人口密集地を襲う異常気象災害の頻発、建設コストの高騰、これまで稀だった住宅所有者への損害が頻繁に発生するようになり、状況はさらに悪化している。
米国の一部地域では、より大型で被害の大きい雹、より高い高潮、大規模で広範囲にわたる山火事、金属を曲げアスファルトを歪めるほどの熱波が発生している。米のNPOであるファースト・ストリート財団(First Street Foundation)のリスク評価者の推定によると、ヒューストンでは、2017年のハリケーン「ハービー」のように、以前は100年に1度とされていた災害が、今では23年に1度の頻度で起きている。また、嵐や山火事のリスクがある沿岸部や荒野への移住者も増えている。
わずか10年前には、気候リスクを中核的な経営課題として取り組む、包括的な戦略を持つ保険会社は、ほとんどなかった。現在では、気候変動を保険契約モデルに織り込まざるを得ない。
損害コストの上昇と保険料の高騰
気候変動に注意を向けさせるには、それに価格をつければよい、という格言がある。保険料の高騰は、まさにそれを実現している。
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