データ活用×コミュニティで地域課題を解決

今回の基調講演では、データドリブン文化を推進する技術とビジョンを備えたリーダーを世に送り出したDATA Saberプログラムの創設者でもあるKT氏が講演。データ活用の極意を語った。

KT 氏(ケイティ)
Snowflake株式会社 シニアプロダクトマーケティングマネージャー兼エヴァンジェリスト

人、組織、データのコラボレーション
がますます重要になる

Snowflake株式会社 シニアプロダクトマーケティングマネージャー兼エヴァンジェリストであるKT氏は、まず「データはリアルの世界を映す鏡」とデータの役割に触れたうえで、データ活用のプロセスは、はじめにタスクがあり、データを取って分析し、インサイトを得てアクションを起こし、またタスクに戻るというサイクルで進めていくことを説明。「常にタスクが何であり、行動変容を起こすためにデータを分析しているということを忘れてはならない」と心構えを述べた。

気候変動、人口減少、超高齢化社会、コロナパンデミック、そして戦争。突如訪れる予測不能な危機に立ち向かうためには「多様な主体が協力し合ってさまざまなアイデアを掛け合わせることが欠かせなくなっている」と述べ、そのための議論の土台として必要なさまざまなデータを含めた、人、組織、データのコラボレーションの重要性について言及した。例えば、飲食店はパンデミックによって従来の手法のみでは来店者数の予測ができなくなり、どれほど材料を仕入れればよいか見当がつかなくなってしまった。ただ、感染者数など外部のデータを掛け合わせることで予測はしやすくなる。米国のある企業は、Snowflake マーケットプレイスに載っている新型コロナ関連のデータを活用して、来店予測を行い仕入れの精度を高めることに成功した。「かつては困難だった外部データの取得が可能になった今、あとは皆さんがやるかやらないかだけ」と新たな段階にきていることを示した。

コミュニティ形成に必要なスキル、
ビジョン、仕組み

KT氏は、地域創生を進めていく上でデータの活用と並んで重要なコミュニティの形成について次に触れた。ビジュアル分析プラットフォームのTableauは2013年に日本に進出したが、その後急速な勢いで、日本市場で普及した。前職でTableauに勤めていたKT氏は、Tableauを使う文化の醸成においてコミュニティの力が大きな役割を果たしたと考えている。

文化を作っていくための最初の1歩は「みんなで変えるんだと信念を持って熱狂する気持ち」と述べる。KT氏自身はまずTableauのミッション「お客さまがデータを見て理解できるように支援すること (We help people see and understand data)」に共感し、「この美しい世界が失われないように、みんなにどう伝えていくかを考えるようになった」という。

KT氏はまず、データドリブン文化を推進するスキルとビジョンを備えたリーダーを10人育て、コミュニティでつなぐことから始めた。2年半をかけて100人まで育て上げたが、さらにこのコミュニティを大きくしていくために次の代に引き継いでいく必要があると考えた。その実現には誰でも適用可能な仕組みと極めて属人的である情熱が双方高いレベルで継承されなければならないという。

データ活用を推進したいという情熱についてはすでに受け継がれていたため、仕組みについては、KT氏がそれまで取り組んできたことを明文化し、DATA Saberプログラムを創設。すると3年半で卒業生が1000人を超えた。この後、卒業生がさらに次の世代を育てる循環ができることによりその数は加速度的に上がっていくことが期待されている。

最後にKT氏は「とにかくまずは始めてみること。続けること。そして仲間とともに進んでいくこと。それができれば必ず大きく花開く」とエールを送った。

 

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