時事テーマから斬る自治体経営 「人口の維持・増加」という思想の注意点

多くの地方自治体は「選ばれる自治体」に変わるために努力を続けており、そのために激しい「自治体間競争」が起こっている。人口を維持、もしくは増やしたいと考える時に、多くの自治体は転入者数が転出者数を上回る「社会増」を目指した政策展開を検討するが、それで本当に人口は増えていくのだろうか。

本連載の第20回において、地方創生の一つの目標は「人口減少の克服」にあると言及した。多くの地方自治体は人口の維持や増加を目指して、多様な行政サービスを展開している。「選ばれる自治体」に変貌するために努力している。この状況は「自治体間競争」と称されている。

一部には、その競争に嫌悪感を持つ人がいる。しかし、筆者は競争を全面否定する必要はないと考えている。競争があることにより、行政サービスの質的向上が促進される。民間企業は激しい競争の中から、イノベーションが登場する。イノベーションは経済を発展させていく原動力となる。

今回は自治体間競争の前提となる「人口の維持・増加」という思想の是非を考える。私見を交えて、人口の維持・増加という思想の注意点を考える。

「自然増」の難しさ

人口を維持・増加するためには、自然増と社会増しかない。一定期間(多くの場合は1年間)において、出生者数が死亡者数を上回った場合(出生者数>死亡者数)は「自然増」と言う。逆に出生者数より死亡者数が多い場合(出生者数<死亡者数)は「自然減」と捉える。

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