ザ・ライバルズ スポーツ用品メーカー対決 デサントVS.ヨネックス
2024年はオリンピックイヤー。アスリートだけでなくスポーツ用品メーカーにとっても勝負の年だ。国内外でのプレゼンスをますます拡大すべく、ブランドの強化、開発販売体制の拡充に力を入れる、デサントとヨネックスの今後の戦略を比較する。
技術革新を繰り返し、成長するスポーツ用品メーカー
デサントは、1935年創業の「ツルヤ」を前身とする。当初は防縮加工を施したクリーム色の野球ユニフォームなどをヒットさせ、1957年に「デサント」ブランドの展開を開始、携帯用ウィンドブレーカーがデサント実用新案第1号となった。その後は、プロ野球11球団のユニフォームを手がけ、70年代にはスタイリッシュなスキーパンツ「デモパン」が一世を風靡するなど、トップブランドとして名を馳せた。
今日では、「デサント」の他、ゴルフウエアの「マンシングウェア」、スイミングスーツの「アリーナ」など9ブランドを世界に展開する。2023年3月期の地域別売上高は、日本が527億円、韓国が578億円と、総売上高1206億円の約9割を日本と韓国が占める。2024年を最終年度とする経営戦略「D-Summit 2023」では、日本事業の収益向上と韓国の安定成長に加えて中国での規模拡大を目指し、着実な成果をあげてきた。
国内事業では、ECなどによるDTC(Direct to Consumer)の構成比を55%まで引き上げることを目標にしており、2023年3月期は42%まで拡大した。今後は、各ブランドのブランディングをさらに強化し、研究開発拠点「DISC BUSAN」と、岩手県水沢、奈良県吉野、宮崎県西都の3工場をフル活用して、一般消費者やアスリートのニーズに応えていく方針だ。
一方、ヨネックスの創業は1946年。創業者が新潟県で木製品の製造販売を開始したのが始まりだ。1961年にバドミントンラケット、1965年にシャトルコックの製造・販売を開始し、1969年にはテニス事業に参入した。カーボンとグラスファイバーの複合材ラケットなど数々の技術革新を果たし、テニスのトッププロとも次々と契約して、今日なお続く世界的ブランドとしての地位を確立している。
2023年3月期の地域別実績は、日本が477億円、アジアが496億円で、ほとんどを日本とアジアが占める。独創的な技術で築き上げてきたそのプレゼンスを、2023年5月に策定された中長期ビジョン「グローバル成長戦略」では、さらに拡大するとしている。戦略では、これまでの営業活動支援中心のマーケティングからにユーザー起点に転換し、リアル店舗の力に加えてDTCエコシステムを構築、IT基盤も国内に新規導入した新基幹システムを海外にも展開する。また、新潟県長岡市の新たな研究開発拠点を中心に、科学的解析に基づいた製品づくりを進めていく。
ウェアや用品の進化はアスリートの進化に直結する。パリ五輪はもちろん、あらゆる大会を通じて、高品位で先進的な日本のスポーツ用品の存在感がますます高まっていくことに期待したい。
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