コロナ後のニュービジネス、世界のアイデアを日本流に磨く

――ご執筆の背景・動機は何ですか。

新型コロナウイルス感染症の拡大という未曾有の出来事が起こり、社会全体の変革が必要だという危機感をもって1年あまりを過ごしてきました。私は広告業界に所属しているので全業種の方と接する機会がありますが、テレワーク普及率の低さにみられるように、「地震・雷・火事・親父」のような災難に対して、じっと我慢すればいずれ去っていくというような発想がビジネスの場でも支配的であることに、半ば憤りがありました。

そうした中で長年、一緒にマーケティング調査をしていた株式会社TNCの小祝さんに世界状況をお聞きしたところ「面白い事例がたくさん出てきている」と教えていただき、これは今の日本企業に必要な情報なのではないか、日本が大きく変わる最後のチャンスだと感じたことが一番の理由です。

――本書では、欧州・北米はもちろん、中国・韓国や東南アジア、オーストラリアなどでコロナ後に生まれたビジネスを「食」や「エンタメ」などのジャンル別で紹介しています。

本書では全部で69の事例を掲載していますが、事例を集めてから分析するまでの間に古くなってしまったものは削り、そのうえで日本にない事例を紹介するという視点でまとめました。理想を言えば、本書をきっかけにどこかの業界が変わるような、変化する意志を触発できればいいなと考えています。

例えば、お笑いライブなどのエンタメビジネスは、これまで大都市の劇場にお客さんを集めることが主眼でした。しかし、今では場所を問わずチケットを販売できます。また、YouTubeやTikTokといったプラットフォームが普及し、発信が容易になったことで、マスメディアに出なくても熱心なファンを掴むことができる人が強い時代になりました。これからは、顧客全体の2割を占めるリピーターを大切にする「ファンベース」の考え方が一層重要になります。

――コロナをきっかけに商圏の変化や人々の価値観の変化が加速しました。

価値観が一変する出来事が起こり、人々の固定概念が揺らいでいる今、本当によいサービスをつくれば、規模の大小や知名度にかかわらず選ばれる環境が生まれています。旧来の大企業にとってはピンチですが、中小企業にとっては下剋上のチャンスです。本書で紹介しているさまざまな事例をただ真似るのではなく、日本の環境や自らの業界に合わせて昇華し、新しいビジネスを生み出していただけたらと思っています。

 

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト、信州大学 特任教授

 

『アフターコロナの
ニュービジネス大全』

  1. 原田 曜平、小祝 誉士夫 編著
  2. 定価 本体1700円+税
  3. ディスカヴァー・トゥエンティワン
  4. 2021年7月刊

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