第9期北海道総合開発計画を閣議決定 ゼロカーボン北海道が目標に

戦後まもなく策定されるようになった北海道総合開発計画の9期目が閣議決定された。第8期期間中に国として打ち出した2050年の脱炭素社会実現と、ロシアのウクライナ侵攻によりクローズアップされた食料安全保障の確保に向け、脱炭素関連産業と農業、そして観光業の強化を目指していく。

 

2024年3月12日、北海道開発法に基づく第9期北海道総合開発計画が閣議決定された。これまでの計画である第8期の総合開発計画は2016年に始動、計画期間中には、日本政府が「2050年にカーボンニュートラル社会の実現」という目標を発表し、また新型コロナウイルスの世界的な流行、ロシアのウクライナ侵攻があった。第9期の総合計画は、これらを受けて検討され、最近の社会経済情勢の大きな変化を反映したものとなっている。

戦後に始まった北海道の開発計画
戦後復興から経済発展、環境保全へ

北海道総合開発計画は、北海道を発展させ、それによって日本が抱える課題を解決てするために国が策定する計画だ。戦後最初の計画、「第1次5ヶ年計画」が北海道開発庁により策定されたのは1951年10月で、戦後復興のための食糧や石炭の増産、電源開発などが実施された。1958年の第2次5ヶ年計画からは、閣議決定を経る国の正式な計画として位置づけられるようになる。高度成長期には同計画をもとにインフラ整備や各産業の近代化が進み、昭和後期から平成前半にかけては北海道の文化的な側面や、自然環境保全などの視点が新たに加わっていった。2001年に北海道開発庁が国土交通省北海道局として再編されたが、計画の策定と実施は続いた。

そして2016年度に始まった第8期総合計画では、本格的な人口減少の到来を踏まえ、食と観光を担う生産空間を支えるため、「人が輝く地域社会」を目標の1つに掲げた。計画期間には、農地の大区画化、専業の農業経営体を中心とした効率的・安定的な生産が展開され、北海道の農業産出額は、2014年から2020年にかけて約14%増の1兆2667億円になった。北海道を訪れる外国人旅行者数は、2015年から2019年までの期間で190万人から301万人と約1.6倍になった。その後、北海道の観光業は新型コロナウイルス感染症の流行でダメージを受けたものの、2020年度に実施された第8期北海道総合開発計画中間点検では、「感染症の影響を受けても、『食』と『観光』を戦略的産業とする位置付けは変わらない」とされた。

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