コンタクトセンターで住民窓口業務のデジタル化を推進

自治体では、業務効率化と市民サービスの向上を目的としてコンタクトセンターの活用が進んでいる。この分野で多くの実績を有しているのが、NTT東日本グループでコンタクトセンターを軸としたBPOを提供するNTTネクシアだ。

川原 宏之 NTTネクシア 営業企画部 営業戦略部門担当課長

NTTネクシアは全国に23のコンタクトセンターを持ち、コールセンター運営業務やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業を行っている。コンタクトセンターとは、従来の電話応対を中心としたコールセンターの役割に加えて、SMSやチャットBOTなどの多様なチャネルを統合し、オムニチャネルで一貫した顧客対応を実現する仕組みを指す。

これまで多くのコンタクトセンターの立ち上げに携わってきた同社営業企画部 営業戦略部門担当課長の川原宏之氏は、企業のみならず自治体においてもコンタクトセンターの需要が増していると語る。その背景には、自治体の業務DXによる効率化や、住民窓口のデジタル化といったニーズがある。

「2020年に閣議決定された『デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針』では、『デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会』をつくる方針が明記されています。このような社会的DX推進において、地域住民との接点を多く持ち、地域コミュニティの一番の担い手である自治体の役割は重要です」

その中で、自治体DXではデジタルやAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上に繋げることが求められている。一方で、現在デジタル人材が社会的に不足しており、BPOを含めた選択肢を検討することが重要になっている。

住民対応窓口をDX
データ分析で品質強化も

NTTネクシアが提案するのは住民窓口業務のデジタル化だ。従来の“人”のみの対応窓口では、「時間外も問い合せしたい」「電話してもなかなか繋がらない」といった住民のニーズや課題に十分対応できず、また、住民の声のデータ化や蓄積も難しかった。「しかし、住民窓口業務はデジタルと組み合わせることで、市民・職員の双方にとって、さらに価値あるチャネルへと変革することが可能です」

同社は、コンタクトセンターを活用して住民窓口をオムニチャネル化するソリューションを提供する。具体的には、電話だけでなくチャットBOT、有人チャットによって電話対応数を削減すると共に、ビジュアルIVR(音声自動応答システム)やSMSなどの活用で、入電時に利用者をデジタルへ誘導する。

図 NTTネクシアの住民窓口ソリューション例

出典:NTTネクシア資料

例えば、住民がコンタクトセンターに架電をした場合、自動音声案内から簡単な内容であればチャットBOT、有人チャット、自治体HPのFAQなどに誘導する。オペレーターにつないだ場合は、音声認識機能などで対応内容を保存し、その後の応対マニュアルに活かしたり、データ分析に活用できるようにする。

「自治体の顔としての自覚を持った訓練されたオペレーターが住民からの問い合わせを一元対応します。これにより職員の問い合わせ稼働を削減し、本来業務に専念して頂くことが可能となります。さらに問い合わせ内容を蓄積・分析し、住民の声をFAQや市政に反映いただくことで、住民の満足度向上にも貢献します」。同社は、コンタクトセンターに集まる音声データを音声認識によってテキストデータ化するVOC(Voice Of Customer)分析サービスも提供している。

同社がクライアント約600社に行った調査によれば、困りごとを抱えた利用者のうち、60%はWebで自己解決し、40%がコールセンターへの架電で解決を図る。また、40%の半数は、センターに電話が繋がらない場合、メールやチャットBOTで自己解決できているという。つまり、「最後までコールに頼る利用者」は全体の20%程度しかいないのだ。ここにDXによる業務効率化の大きな可能性がある。

「高齢者住民が多い自治体からは、住民窓口のデジタル化に不安の声も聞かれます。しかし、コンタクトセンターの役割は、お問い合わせ頂く方々に応じて、最適なチャネルを適用することです。窓口のデジタル化で、高齢者の方々への対応が疎かになることは決してありません」と川原氏は強調する。

自治体の幅広い業務に
対応したソリューション

自治体は住民窓口サービスだけではなく各課が多岐に渡る業務を行うが、民間企業にアウトソースしづらい業務領域においても、NTTネクシアはDXやBPOのソリューションを提供している。

一つ目は資源課が対応する粗大ごみの処理受付対応だ。粗大ごみは排出量が増加傾向にあり、また季節変動が激しいため、受付業務の負担が大きい。同社はある自治体において、チャットBOTやボイスボット、画像AIなどを活用した繁忙期対応システムを構築。利用者はチャットBOTにごみの画像を投稿するだけで、品目や処理方法などの案内を受けることができる。さらに、手数料の支払いもキャッシュレス(電子マネー、クレジットカード等)対応を可能にした。

二つ目は地域経済活性化に向けた地域通貨ソリューションだ。プレミアム商品券の電子化・デジタル通貨発行から構築準備・導入・運用(地域通貨に関わる加盟店/利用者からの問い合わせ対応)、分析・報告までトータルで対応可能な「地域通貨デジタル化まるごとバッケージ」を提供している。導入から運用までのサポートに加え、導入後に発生する様々な業務をアウトソーシングできることで、加盟店・利用者が安心してデジタル地域通貨を利用できる体制を構築し、自治体職員の業務負担軽減を実現する。

「DX推進が声高に叫ばれておりますが、その担い手は自治体職員をはじめとした『住民の立場に立てる人』であり、そうした人材をいかに増やしていくかが大切です。弊社の最大の強みは『人材』であり、オペレーター等の定量的選考による業務とスキルのミスマッチ防止や、独自メソッドによる研修、品質管理に注力しています。自治体業務を効率化し、住民の方々の満足度を上げていくために、コンタクトセンターのデジタル化を中心としたDXを検討して頂き、ぜひ気軽にご相談ください」と川原氏は締めくくった。

 

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