時事テーマから斬る自治体経営 「データ」の注意点、その2
正しくデータを把握するためには、そのデータの定義や統計の脚注にも目を向ける必要がある。また、多くのデータは「推計」であり、近年はデータの改ざんも問題になっている。「観光客数」や「人口」に関する統計の事例をもとに、データの注意点を解説する。
正しくデータを把握しないと、政策づくりは失敗してしまう。そこで前回に続いて、データを把握する際の注意点を解説する。
「観光客」の意味とは?
読者は「観光客」の持つ意味をどのように捉えるだろうか。都道府県が発表する「観光入込客統計」の観光客(観光入込客)の数字を活用することが多いと思われる。同統計は観光客の動向を把握するのに役立つ。ただし、注意すべき点がいくつかある。
都道府県の「観光入込客統計」を確認すると、観光客に関して脚注が記載されているケースがある。脚注は「観光入込客数は、観光地点及び行祭事・イベントの入込客数を施設の分類別に集計した数値で延べ人数であり、観光地点等の重複を含む」とある。
後半の「…延べ人数であり、観光地点等の重複を含む」が注意すべき点である。すなわち、同一人物が同一日に、その自治体内のいくつかの観光地点を訪問することにより、ダブルカウントやトリプルカウントが含まれる可能性がある。その意味では、同統計が発表する観光客数は、観光客の実数とは限らない。
また、観光入込客統計にける観光の定義を確認すると「余暇、ビジネス、その他の目的のため、日常生活圏を離れ、継続して1年を超えない期間の旅行をし、また滞在する人々の諸活動とします」と記載されているケースもある。すなわち、観光客数の中には「ビジネス目的で訪れた人」も含まれている可能性がある。
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