NEXCO東日本グループ×大髙醤油 SA・PA限定商品の開発で地域に生む好循環
「地域をつなぎ 地域とつながり 未来につなげる」をCSRキーワードに掲げるNEXCO東日本グループ。高速道路の建設・管理のみならず、SAやPAを地域の銘品と消費者をつなぐプラットフォームとして進化させている。千葉県での老舗醤油蔵との協業事例から、同グループの共創戦略に迫る。

左より、東日本高速道路株式会社 取締役兼常務執行役員 サービスエリア・新事業本部長/株式会社ネクスコ東日本エリアトラクト 代表取締役社長 吉見秀夫氏、株式会社ネクスコ東日本リテイル 代表取締役社長 久住川順一氏、大髙醤油株式会社 代表取締役社長 大髙衛氏
SA・PAの顧客のニーズに合わせ
地域の特産品や銘品を紹介
千葉県には、主に生活道路として利用される京葉道路や、成田空港へ人と物を運ぶ東関東自動車道、房総半島の観光・レジャーを支える館山道や千葉東金道路などの幹線道路があり、NEXCO東日本はそれらの管理を担っている。現在は圏央道のミッシングリンクであり、2026年度に開通予定の大栄ジャンクションから松尾横芝インターチェンジ間の建設のほか、対面通行区間の4車線化事業にも取り組んでおり、千葉県内の交通基盤は着実に強化されつつある。
東日本高速道路取締役の吉見秀夫氏は「房総半島のレジャーをより利用しやすくするため、ETCを使った定額乗り放題の企画割引も実施しています。道路をつくるだけでなく、使ってもらうための仕掛けも含めて地域に貢献していきます」と語る。同社は道路インフラの整備と利用促進の両輪による地域振興を目指しており、その戦略のフロントラインに立つのが、サービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)だ。千葉県内の商業施設としてはSA2カ所、PA12カ所を管理している。
SA・PAでグループ直営店舗の運営を担うのは、NEXCO東日本グループのネクスコ東日本リテイルで、関東から北海道にかけて57店舗を展開している。同社社長の久住川順一氏は、「SA・PAでは、平日はビジネス客、休日や行楽期間はレジャー客と、曜日によって客層が大きく変わり、求められる商品の趣向も変わります。そのため、そういったニーズに合わせながら、地域ごとの特産品や、地域企業の銘品を紹介することを心がけています」と話す。
創業220年の醤油蔵と連携
PA限定ソースを共同開発
こうした地域企業との連携事例の1つが、千葉県の野呂PAでの大髙醤油との協業だ。大髙醤油は1804年創業の老舗醤油蔵で、昭和の後半から食の多様化や時代の流れの中で、醤油を軸に調味料へも事業領域を拡大。現在、約400種類の調味料を製造している。
連携のきっかけは、当時の野呂PAの店長が「地域の特産品や企業とのコラボを考えているが、調味料を作れないか」と大髙醤油に声をかけたことだった。こうして開発されたのが、野呂PA限定販売のにんにく醤油ソース「にんにく醤」だ。野呂PA内の食事処では同商品を使用した「大髙醤油のにんにく醤を使った豚焼肉重」も販売され、人気メニューとなった。
野呂PAで限定販売している大髙醤油のにんにく醤油ソース「にんにく醤」
「お試しの小ロットから始められたことが、中小企業である当社には非常にマッチし、強みが生かせました。パッケージデザインや商品の陳列の仕方などの細部にまでこだわって野呂PAを代表する商品に育てていただき、心から感謝しています」と大髙醤油社長の大髙衛氏は当時を振り返る。
ネクスコ東日本リテイルとしては、「実店舗で実際ににんにく醤を使い、料理を通じたプレゼンテーションで販売へつなげられることが大きなメリットとなった」(久住川氏)という。
また、野呂PA限定というプレミア感が口コミで広がり、これを目的にわざわざ高速に乗って買いに訪れる人も増えた。
「商品の価値だけでなく、相乗的に大髙醤油という会社の価値そのものも高めることができたと感じています。ノベルティグッズやソースを使った副産品などの企画も上がってきていますので、今後さらにいろいろな形で展開をしていきたいです」(大髙氏)

千葉東金道路にある野呂PA。売店には地域の特産品を豊富に取り揃えている
次期中期経営計画で注力する
PB開発と自動販売機の2本柱
この野呂PAでの事例は一過性のコラボではなく、NEXCO東日本グループの経営戦略の中に位置付けられている。吉見氏はSA・PAの運営を専門とするネクスコ東日本エリアトラクトの社長を兼務しているが、同社では東日本沿線地域の魅力を発信すべく、地域企業との連携によるプライベートブランド商品(PB商品)「和みシリーズ」を開発してきた。「和みの天然水」「和みの炭酸水」などがあり、直近では2025年にノンアルコール飲料「和みのゼロ」を発売している。
「これまでのPB商品の開発においては、地域の材料、地域の生産といったことを重視しており、そのためすでにいくつかはふるさと納税の対象にもなっています。そのことで、さらに地域の魅力の発信とお客様満足度の向上、当社の収益力強化にもつなげていきます」(吉見氏)
NEXCO東日本グループの次期中期経営計画では、2つの柱を打ち出す。PB商品開発の加速と、多様な自動販売機の導入だ。高速道路は24時間車が通るため、一部のSA・PAで夜間に店舗が閉まった後も、地域の食品を温かい状態で提供できる自動販売機があれば、利便性は大きく向上する。
「自動販売機導入により、省人化と地域食材の提供を両立させます。最新の決済技術も活用し、お客様にとってのSA・PAの価値をさらに高めていきたいと考えています」(吉見氏)
地域に潜在する高い技術や
ノウハウを掘り起こす
吉見氏は地域企業との共創の手応えをこう語る。「これまでPB商品でご協力いただいた企業は、決して大企業ではありません。我々が新しいことをやりたいという思いと、地域で独自に努力を重ねてきた企業のベクトルが合うと、スパークして新商品が生まれるのです」
大髙氏もまた、今回の経験を通じ、地域活性化の可能性を大いに感じたという。「地域には、技術はあるけれども売り方が上手くない企業がたくさんあります。そういった人たちにもこういうお話を広げて、連携に次ぐ連携という形で、高速道路やSA・PAが地域おこしの源になるということを広げていきたいです」
久住川氏は「地域の特色を生かした店舗づくりをきっかけに、生産者や製造元と顔の見える関係を作り、昨年の米不足のような有事にも助け合えるネットワークを作りたい」と、取引を超えた信頼関係の構築を見据える。
知られていないだけで、地域に潜在する高い技術やノウハウを持つ企業は、まだまだたくさんある。NEXCO東日本グループはその前提のもと、今後もいろいろな場所に足を運び、人と人のネットワークを通じて、新たな企業とのコラボレーション創出を図っていく。
お問い合わせ
東日本高速道路株式会社
サービスエリア・新事業本部
https://www.e-nexco.co.jp/
株式会社ネクスコ東日本エリアトラクト Tel:03-5405-1967
(平日10:00-17:00)
https://e-nexco-areattract.co.jp/
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