頻発する自然災害への備え 危機感を持って防災を考える段階に

地球温暖化の進行で自然災害が増加し、各地で大規模な地震が発生する中、防災の重要性はますます高まっている。防災に関する様々な活動を行っているスターライト工業代表取締役社長の西郷隆志氏と、クラウドワークス代表取締役社長 兼 CEOの吉田浩一郎氏に、その活動内容について聞いた。

 

1936年創業のスターライト工業は、すべる・とめる・まもる技術とサービスの「トライボロジー」、解析・エンジニアリングによる機能提案の「モビリティソリューションズ」、安心安全への価値提供をする「セーフティ・ライフサポート」という、3つの事業を融合させたビジネスを展開。西郷氏は西郷隆盛の子孫で、スターライト工業の事業や社会貢献は、社会をより良くするという隆盛の意志を受け継ぐものだ。

西郷 隆志(スターライト工業 代表取締役社長)

クラウドワークスは2011年創業で、日本最大級のクラウドソーシング「クラウドワークス」をはじめ、企業と個人をつなぐオンライン人材マッチングプラットフォームを開発・運営。吉田氏は2020年には、IT業界を中心とする経営者、投資家、有志ら50人以上の賛同を得て「災害時緊急支援プラットフォーム」を設立した。

吉田 浩一郎(クラウドワークス 代表取締役社長 兼 CEO)

阪神・淡路大震災を教訓に
トイレの課題解決で活動

田中 お二人は30年前に阪神・淡路大震災で被災した神戸市のご出身で、防災や被災地支援の活動に取り組まれています。

西郷 私は阪神・淡路大震災の時は東京の大学に通っており、直接被災した訳ではありません。しかし、神戸市灘区にあった実家は、震災で全壊しました。スターライト工業が当時、神戸市からかなり相談を受けたのは、震災後のトイレの衛生環境が悪いことでした。

スターライト工業はかつて、割られて破損することがあった陶器製の公衆トイレを強化プラスチック製に変えたり、精神病院や刑務所に特殊トイレを提供するなど、トイレに関する課題解決に取り組んできました。このため、阪神・淡路大震災以降はボックス型の災害備蓄トイレの製造などを通じ、災害時のトイレに関する課題解決に向けた活動も続けています。

吉田 私は2020年に災害時緊急支援プラットフォームを設立しましたが、そのきっかけは2019年9月に千葉県で甚大な被害を出した台風15号でした。私たちは当時、千葉県館山市で支援活動を行いましたが、現地で驚いたことが色々ありました。

館山市は当時、50年ぶりの大規模な災害で被災し、行政は災害対応に慣れていませんでした。また、行政による被災者支援では公平性が重要で、目の前に困っている人がいても先に物資を渡すようなことはできず、まずは物資を集めて平等になれるよう考慮しながら配布する必要がありました。

さらに、現地に派遣される自衛隊には指揮命令系統があり、決められた任務以外のことは基本的にできません。このような中で、私たちのような民間企業は束縛が少なく、目の前で困っている方々にいち早く物資を配ることができ、民間の支援には意味があると感じました。

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