沿線を「関西で圧倒的 No.1」に 阪急阪神・角会長の戦略

阪急阪神ホールディングスは2040年に向けた長期ビジョンで、沿線を「関西で圧倒的 No.1」にすることを戦略の1つに掲げている。国内外のビジネス環境における諸課題への見解や事業戦略、関西のさらなる発展への期待について、代表取締役会長でグループCEOの角和夫氏に聞いた。

角 和夫(阪急阪神ホールディングス代表 取締役会長
グループ CEO)

安保3文書や防衛費増額で時代は大きく変化

――新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)との共生や緊迫する国際情勢など様々な社会課題がある中、 事業家として特にどのようなテーマに関心をお持ちですか。

ロシアによるウクライナ侵攻が続き、また中国、北朝鮮の軍事的脅威がかつてなく高まっています。これらの国々と隣り合わせである日本の人々は、リスクに対して高い感度を持つことが必要です。戦後の日本は「マッカーサーノート」にあるように防衛力を持つことはできず、その後、自衛隊はできたものの、自分の国を自分で守ることにおいて多くの制約がありました。

このような中、岸田政権は昨年末、「国家安全保障戦略」などの安保3文書を閣議決定し、戦後日本の防衛政策で抜本的な方向転換、進化を遂げました。時代は大きく動いており、まずはこの部分の共通認識を国民が持たなければいけないと思います。

また、防衛予算を、2027年度までの5年間の総額で、国内総生産(GDP)比で2%に近い43兆円に増額する方針です。2%というのは欧米並みの水準で、金額でも従前の1.6倍になります。また、今後の防衛政策では宇宙がキーになるとみられ、自由や民主主義などの普遍的価値を共有する国々が一緒になって開発を進めていく必要があります。

さらに、エネルギーの安定供給とGX実現に向けた課題もあります。日本では東日本大震災以降、原子力発電に関して皆が思考停止に陥っていました。震災から10年以上が経過し、これ以上、思考停止を続ければ大学で原子力の勉強をする学生もいなくなり、技術の継承もできなくなるような状況でした。そのギリギリのところで、岸田政権が再度スイッチを入れました。原子力には色々課題もありますが、思考停止が続く中、誰かがスイッチを入れる必要があり、それがようやく実現しました。

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