地域を主役に、サステナブルでWell-beingなまちをつくる

スマートシティ実現をめざすプログラムSSPPでは、国際規格の取得、地域の豊かさの可視化、まちづくりのための人材育成などを進めてきた。これらの取組に参加する自治体も増えている。

栗山 浩樹
NTTグループ会社取締役
SSPPファウンダー&エグゼクティブアドバイザー

「自分たちが住むまちを好きになり、自らの手で耕していくためのプロセスをSSPPを通じて実現したい」。

2023年11月22日に行われたフォーラム:SSPP Forum#02 「“地域を主役としたサステナブルでWell-beingな”まちづくり2023」で、NTTグループ会社取締役SSPPファウンダー&エグゼクティブアドバイザーを務める栗山浩樹氏はこのように語った。

SSPPは「サステナブル・スマートシティ・パートナー・プログラム」の略称で、公・民・学が連携したまちづくりの推進を目的としてNTTグループが提供するプログラムだ。「サステナブル・スマートシティ」とは、ICT(情報通信技術)等を活用して、まちの最適化をめざすまちを意味する。

主に教育機関、自治体、地元企業、広域企業を対象に「まちづくりに関する事例・ノウハウ等の知の共有(知の紡ぎ合い)「人やソリューションのマッチング(持続的なビジネス共創)」「豊かさの可視化(プレゼンス向上支援等)」をめざす。それによって住民のまちづくりへの参加意欲を醸成し、地域と住民の幸せ(Well-being)を最大化することを狙いとする。

具体的に注力している取り組みが3つある。1つ目が、スマートシティの戦略策定や管理運用のプロセスを評価する国際規格「ISO37106」の取得支援だ。主に「国際基準を満たしたまちづくりを行っている」「プロセスが『ヒト中心』『デジタル活用』『オープンで協調的』」「持続的かつ横断的な運営の更なる促進」といった基準により判断される。2023年5月にはNTTアーバンソリューションズが手がけるオフィスビル「アーバンネット名古屋ネクスタ街区」が、世界で2例目となるISO37106レベル4の認証を受けている。

2つ目が、独自の調査データにもとづき地域の豊かさを可視化する「SUGATAMI」という取り組みだ。住民へのアンケートを中心に「幸福度」「満足度」(主観指標)、オープンデータを中心に「都市機能」(客観指標)をスコアで算出。分析レポートを作り、地域のポテンシャルをひも解くサポートを行う。

3つ目が、住民を含めた多様なステークホルダーとコミュニケーションを取ることができる「まちづくりソーシャルデザイナー」(スマートシティプランナー)を育成するプログラムの構築だ。NTTグループの社員を中心に受講を進めており、23年11月時点では474名が認定を受けている。

今回のフォーラム時点では、15の市区町村3つの県、1大学がSSPPの会員となっている。フォーラムの中では、NTT西日本らと協働し総合戦略策定支援案件に取り組む徳島県北島町や、SUGATAMIを市政に活用する山梨県山梨市の事例が紹介された。

日本電信電話(NTT)代表取締役社長の島田明氏は最後に、「SUGATAMI」やまちづくりソーシャルデザイナー育成といった取り組みに関心を示す自治体は少しずつ増えていることに言及。「SSPPは立場やヒエラルキーを超えた公民学連携のコミュニティでもあると考えている。答えのない複雑な課題を解決するために、共に手を携えて、豊かな社会の実現に向けたまちづくりを行っていきたい」と語り、異なる立場にある人々が互いに学び合うことの重要性を強調した。

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