インターネット証券会社対決! SBI証券 VS. 楽天証券

実店舗を持たず、オンラインで入出金や取引が完結する、いわゆる「ネット証券」。時間や場所を問わないネットならではの手軽さや、人件費が抑えられることによる手数料の安さ、充実したサービスなどが好評で、利用者を増やしている。コロナ禍で在宅時間が長くなったことも利用者拡大につながった。そのネット証券業界をリードするのが、SBI証券と楽天証券だ。

投資のハードルを下げて業績好調のネット証券大手2社

SBI証券は1999年設立。SBI新生銀行などを傘下に持つSBIホールディングスにおいて金融サービス事業を担う。2020年8月に500万だった証券総合口座数は、2023年9月には1,200万に達し、多くの投資家に支持されている。2023年3月末の預かり資産残高は27兆円、国内株式委託売買代金は174兆円で、委託個人売買代金シェア46%、委託個人信用取引売買代金シェア47%と業績は好調だ。NISA口座開設件数も、ファンド選びサポートサービスやキャンペーン実施が奏功して、今年(2024年)1月は過去最高の47万件となった。

2019年には、米国での株式売買委託手数料無料化の流れを受けて「ネオ証券化」構想を打ち出し、手数料を無料化。それに伴い、手数料に依存しない収益基盤の構築と多角化を進め、FX取引拡大やカードでの投信積立、AI投資「SBIラップ」などを推進。オンライン取引国内株式委託手数料が営業利益全体に占める割合は、2023年に11%に低下している。今後、「ネオ証券化」効果をSBI新生銀行などグループ全体の顧客基盤拡大につなげるべく、「顧客中心主義」の理念を徹底していく。

楽天証券も同じく1999年設立。楽天証券ホールディングスにおいて金商品取引事業を担う。2023年12月期の預かり資産は前年同期末比38%増の25兆円、信用残高は17%増の8,831億円、投資信託残高は66%増の7兆円と、こちらも好調が続く。

現在、国内株式マーケットシェアは32%に達し、2023年に開始した単元未満株取引「かぶミニ」も好調だ。今年1月、「かぶミニ」取引は前月比で90%増加。取引者の34%が新NISAでの取引となった。成長投資枠での「かぶミニ」取引者は30代以下が48%と、若い世代の取り込みにも成功している。目下、生成AI活用チャットの提供や、国内株式手数料無料の「ゼロコース」の開始、投資相談AIアバターの開発など、投資のハードルを下げる取り組みを積極的に進める一方、「楽天カード」「楽天キャッシュ」での投信積立決済など楽天グループの連携も加速し、ポイントによる投資信託などポイント活用も増加している。

「貯蓄から投資へ」が叫ばれるようになって久しいが、この間、スマートフォンやタブレット端末も急速に普及してデジタル環境が整い、新NISAも始まるなど、ネット活用による資産運用の気運はかつてなく高まっている。ネット証券各社には今、追い風が吹いている。

両社の概要

SBI証券

設立 1999年
本社 東京都港区
代表 髙村 正人(代表取締役社長)
資本金 543億円
従業員数 1,088名
主な事業 インターネット・コールセンターを通じた株式等
有価証券の売買注文の委託、有価証券引受け、
有価証券募集・売出し取扱・私募取扱業務 他
グループ会社 ●持株会社:SBIホールディングス
●グループ会社:SBIネオトレード証券、
SBIベネフィット・システムズ、SBIマネープラザ、
SBI新生銀行、SBI損害保険 他

出典:ホームページ(会社案内)、SBIホールディングス ホームページ 他

 

楽天証券

設立 1999年
本社 東京都港区
代表 楠 雄治(代表取締役社長)
資本金 194億円
従業員数 連結:598名
主な事業 ●金融商品取引業
●付帯業務(有価証券貸借業務、信用取引に付随する
金銭貸付、有価証券に関する顧客の代理業務 等)
●その他(保険募集 等)
グループ会社 ●持株会社:楽天証券ホールディングス
●グループ会社:楽天投信投資顧問、楽天ウォレット 他

出典:ホームページ(会社概要、沿革)、業務及び財産の状況に関する説明書 他

 

沿革

SBI証券

設立~
2000年代
●イー・トレードが大沢証券を子会社化(98)
●イー・トレード証券に商号変更、
インターネット取引サービス開始、
インターネットによる新規上場株式募集
ブックビルディング受付開始(99)
●ジャスダック上場(04)
●SBI証券と業務提携(05)
●SBIイー・トレード証券に商号変更(06)
●SBI証券と合併(07)●SBI証券に商号変更(08)
2010~
2020年代
●SBIフューチャーズと合併(10)
●SBI Securities(香港)設立(15)
●SBIベネフィット・システムズ子会社化(16)
●SBIプロセスイノベーター設立、SBIマネープラザ、
SBIビジネスサービス子会社化(17)
●SBIネオモバイル証券設立(18)
●SBI VCトレード子会社化(19)
●ネット証券初 証券総合口座500万口座突破(20)

出典:ホームページ(沿革)

 

楽天証券

設立~
2000年代
●DLJディレクトSFG証券設立(99)
●楽天が親会社に(03)●楽天とのポイント提携開始、
楽天証券に社名変更(04)●楽天FXサービス開始(08)
2010年代 ●資産管理用「ポートフォリオ機能」提供開始(10)
●ASEAN主要4ヵ国株式取次開始(12)
●国内商品先物取引取扱開始(14)
●ロボアドバイザー「楽ラップ」開始(16)
●100円から始められる「100円投資」開始(17)
2020年代 ●ロボアドバイザー「らくらく投資」開始(21)
●「家族プログラム」「バースデープログラム」開始(22)
●「かぶミニ」(単元未満株取引)開始、
生成AI活用チャット提供開始、
国内株式手数料無料「ゼロコース」開始(23)
●「投資相談AIアバター」開発(24)

出典:ホームページ(沿革)

業績の推移

SBI証券

出典:決算短信、決算説明資料

 

楽天証券

出典:ホームページ(決算短信)

 

総合口座数推移

SBI証券

出典:ホームページ(ニュース)

 

楽天証券

出典:ホームページ(ニュース)

 

2023年度業績ハイライト

SBI証券

出典:決算説明資料

 

楽天証券

出典:決算説明資料

 

前年度の動向と今後の施策

SBI証券

出典:ホームページ(ニュース)

出典:SBIホールディングス統合報告書2023

 

楽天証券

出典:決算説明資料

出典:決算説明資料

 

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り0%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。