医療・ヘルスケアの競争戦略 最後に差がつく「人」の要素

医学・行政・ビジネスの観点から医療・ヘルスケア業界の事業戦略を考える本連載。さまざまな先進技術が溢れ、複雑な規制と多様なステークホルダーに囲まれた医療・ヘルスケア領域において見失ってはならない「目的」と「対象」について、競争戦略の観点から考察する。

目的と手段を
取り違えていないか?

今回の連載では「手段が目的化していないか」についてお話しをしていきます。この連載ではしばしば「新規事業の考え方」や「イノベーション」といった話をしてきました。「医療・ヘルスケア業界ではイノベーションが求められている」とか、「まだまだ医療・ヘルスケア業界には課題が多く、新規事業を開発できる余地がたくさんある」といった論調です。企業の中で「新規事業開発室」などの新規事業を目的とした部署ができたり、イノベーションを目的としてベンチャーのアクセラレーションプログラムなども多く行われてきて、それにあわせて、イノベーションや新規事業開発の考え方を共有してきました。ただ、その弊害なのかもしれません、「新規事業をしないといけない」「イノベーション事例として〇個出さないといけない」といったように、新規事業やイノベーション自体が目的となってしまっている事例を周囲で見かけることが多くなりました。

改めて強調しておきたいのは、あくまでも「新規事業開発」や「イノベーション」は手段であって、それ自体が目的ではないということです。医療・ヘルスケア領域であれば、目的は「医療の現場をデジタル化して医療従事者が働きやすくしたい」や、「患者さんのクリニックでの診療体験を向上させたい」などが挙げられるでしょう。

筆者自身もそうですが、視野が狭くなると、つい手段の目的化が起きてしまいます。最近あちこちで言われる「DX」、またAIやIoTなどのテクノロジーも同じで、DXやAIの活用自体が目的ではなく、何か達成したい目的に対して「DX」や「AIの活用」を手段として用いるべきなのです。

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