時事テーマから斬る自治体経営 「商店街振興」の現状
多くの自治体が商店街の存在に意義を見出し、その振興に力を注いでいる。しかし、地方にある商店街は、その多くが衰退しているか、衰退傾向にあることは明らかだ。その一方で、近年急に多くの観光客で賑わうようになった商店街もある。その差はどこにあり、自治体は何ができるのだろうか。
中小企業庁は3年に1回ごとに「商店街実態調査」を実施している。同調査から商店街数の推移を確認すると、1万4655(2015年)、1万2096(2018年)、1万2210(2021年)となっている。2015年から2018年にかけて大きく減少したが、近年は一定数を維持している。
商店街の厳しい現実がある。同調査は商店街の取り巻く環境を尋ねている(表1)。一貫して7割近くが「衰退している」「衰退の恐れがある」と回答している。今回は、商店街振興の現状とヒントを考える。
表1 商店街を取り巻く環境
※無回答は表記していないため、合計が100%にならない商店街振興の法的根拠
商店街に関する法的根拠は、大きく2つある。まずは「商店街振興組合法」がある(1962年制定)。同法を確認すると、商店街の存在は「公共の福祉の増進に資する」とある。
次に、「商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律」(通称「地域商店街活性化法」)を紹介する。同法は商店街の役割として、第1に生活者に対する商品やサービスを提供する場、第2に公共的課題の解決を促進する地域コミュニティの担い手の意味が記されている。また、同法は商店街の存在が日本の経済活力の維持と向上に貢献してきたとも明記している。
地方自治体の条例から、商店街の意義を確認する。表2は商店街振興条例の目的規定である。表2から商店街には、経済活動の活性化、地域社会の発展などが期待されていることが理解できる。なお、商店街振興を意図とした条例は、筆者の調べた範囲では40程度しか見当たらなかった。もっと条例化していると考えていたため、「意外と少ない」というのが感想である。
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