広範な自治体のバックオフィス系業務をDX NTTファイナンス

NTTファイナンスは、学校徴収金の徴収・管理業務のクラウド型決済ソリューションの「楽々クラウド決済サービス」や、通信費等の法人向け一括請求サービス「ビリングONE」を提供し、自治体の業務改善に貢献している。サービスを導入する2団体の事例を紹介する。

自治体は紙に依存していた請求・決済業務の効率化・ペーパーレス化を進める必要がある(写真はイメージ)

申し込みから3ヶ月で本格運用開始
給食費のほか学校徴収金を一元管理

房総半島南部に位置する千葉県御宿町は、2021年10月から、NTTファイナンスの学校徴収金の徴収・管理業務のクラウド型決済ソリューションである「楽々クラウド決済サービス」の運用を開始した。対象は町立の小・中学校2校の児童生徒約290人分で、徴収対象は給食費のほか、教材費やPTA会費をはじめとする学校徴収金である。

これまで町立の小・中学校2校ではセンター方式で学校給食を運営しており、給食費は教材費やPTA会費などとともに、それぞれの学校の教員が保護者から現金で徴収していた。しかし、調理施設の老朽化などを理由に、2021年度から調理・配送を隣接する勝浦市に委託することが決定。これを契機に学校給食費の公会計化に移行し、歳入と歳出の管理を町が行い、町から勝浦市に給食費を支払う方式に切り替えた。

ただ、現金による徴収自体は引き続き学校側が行うことになり、教員の業務負担や児童生徒が現金を持ち歩くことのリスクなどは課題として残った。一方、管理業務の受け皿となる町役場も、そのために人員を増やすことはできず、対応を検討しなければならない状況だった。

御宿町は公会計化に移行する直前に、NTTファイナンスから学校徴収金の徴収・管理業務のクラウド型決済ソリューションである「楽々クラウド決済サービス」について提案を受けており、導入検討を開始。同サービスは、事前に名前や口座情報、徴収時期などの徴収計画を登録すれば、徴収から収納の一連の業務をクラウド上で自動化できる。学校現場における徴収業務や教育委員会での管理業務などの負担軽減に寄与することを期待され、2021年6月の議会定例会で予算承認を得て、同年10月の給食費から運用することが決定した。申し込みから約3ヶ月で本格運用と、システム構築が不要なクラウドサービスならではの、スピーディーな導入が実現した。

御宿町の導入の決め手は、第一に、クラウドサービスであるため導入コストを大きく抑えられたことだ。近隣の自治体では、既存の学齢簿システムを改修して徴収管理を集約した例もあったが、その場合はシステム改修に多額の費用が必要になる。導入時の重い財政負担は避けられる点が評価された。

また、給食費のみならず、教材費やPTA会費といった学校徴収金全般に活用できる点も評価された。保護者には従来通りまとめて定額を支払ってもらい、その後に給食費は町会計へ、その他は学校の口座へと振り分けることができるため、保護者にも負担をかけることはない。口座振替やクレジットカード決済など多様な決済手段にも対応しており、むしろ保護者の利便性は高まるとの見通しもあったという。

本サービスの導入により課題となっていた学校現場の負担軽減にめどをつけた御宿町。今後はその成果によって、教員が生徒や児童と向き合える時間を増やし、いっそうの教育の質の向上を目指していく。

通信費請求の一括化で
経理処理の94%短縮を実現

茨城県稲敷市下水道課は、通信費等の支払い業務の効率化を実現するNTTファイナンスの法人向け一括請求サービス「ビリングONE」を導入した。本サービスは、複数の通信会社にまたがり、納付書の到着時期や支払い期限がバラバラな毎月の通信費を一括請求化できる。通信費自体はNTTファイナンスが一旦立替払いを行うため、ユーザーの支払い処理は毎月一度で完了できる仕組みだ。

図 NTTファイナンスの一括請求サービス「ビリングONE」の仕組み

出典:NTTファイナンス

 

稲敷市下水道課は、下水道課が管理するマンホールの一部には汚水用ポンプが設置されており、その数は340基に達する。マンホールポンプに付属する水量監視装置は通信回線で管理されているため、ポンプ基数分の通信回線利用が発生する。その他の用途も含めた利用回線数は約400にのぼり、下水道課ではこれまでも地区ごとに請求をまとめるといった対応を通信会社に依頼していたが、それでも毎月の納付書は35通ほどに達し、その開封や経理処理に大きな負担を感じていた。

そんな折に請求の窓口であるNTTファイナンスから通信費の一括請求サービス「ビリングONE」の提案を受けた。稲敷市では今後もマンホールポンプの新規整備が予定されているため、将来的な業務改善効果も見込み、「ビリングONE」の導入を決定、2021年10月から運用を開始した。

導入後、業務時間の大幅な削減が実現している。毎月35通の納付書の開封作業がなくなっただけでなく、毎月25日に届く通信費総額を一度承認し、翌月20日までにNTTファイナンスに立替え金額を支払えばよいので、金融機関への支払い行為もなくなった。さらに「ビリングONE」では、各通信費の勘定項目を事前に指定し、それをCSV形式でダウンロードできるので、従来手作業で行っていた仕分けや入力作業も不要になった。下水道課の試算によれば、毎月約14時間を要していた経理処理が52分と、約94%も短縮されたという。

さらに、「ビリングONE」では、前月分の請求を翌月には必ず処理できるため、一部の請求が決算に間に合わないといったケースもなくなる予定だという。「ビリングONE」は稲敷市が運用している会計システムとの連携も可能なため、下水道課では今後、会計伝票の起票などでさらなる業務効率化を図る方針だ。

バックオフィスのDXを
幅広く支援

現在、多くの自治体では職員の働き方改革に向けた事務作業の効率化や、テレワークの拡大等を目的とした電子化・ペーパーレス化の推進が図られているが、請求・決済などの経理業務においても、効率化やペーパーレス化の余地は大きい。

本稿で紹介したように、NTTファイナンスのソリューションは、自治体の幅広い請求・決済・支払い業務に対応できる。法人向け一括請求サービス「ビリングONE」は、通信費だけでなく電気やガス料金の一括請求にも対応可能であり、「楽々クラウド決済サービス」は公会計の給食費以外にも、毎月徴収が発生する教材費やPTA会費などの私会計や学童保育料なども徴収・管理が行える。

NTTファイナンスでは、経理業務の効率化や品質向上に向けた制度設計、業務プロセスの改善、システム・サービス導入等の顧客課題に合わせた最適な解決策を提案する経理業務コンサルティングや、経理業務アウトソーシングサービスも提供し、自治体のバックオフィス業務のDXを支援していく。

 

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(担当:ビリングソリューション担当、
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