2社連携で自治体DXを支援 業務効率化を加速する支払改革

三井住友カードと、出張・経費管理クラウドのベンダーであるコンカーがタッグを組み、自治体の業務効率化をさらに加速させるソリューションが生み出している。6月21日に開催された自治体DXセミナー「どうする日本~デジタルは日本を救えるのか~」から、その内容を紹介する。

左から、三井住友カード ビジネスマーケティング商品開発部長の松井 晃氏、
コンカー ディストリビューション統括本部 公共営業本部 部長の長谷 大吾氏

請求書管理のソリューション
コンカーインボイス

セミナーに登壇したコンカー日本法人の長谷大吾氏はまず、2024年に日本国内でデータセンターが設置される計画やISMAPへの登録準備が進んでいることに触れ「コンカーでは、すでに2019年頃から自治体等公共機関のお客様と実装実験を実施。コンカーが自治体のお客様にどういう形でフィットするのか、効率化を実現できるのかを見るため、これまで14の公共機関のお客様と実証実験、調査研究を進めています」と話した。

続いて三井住友カードの松井晃氏は、2020年9月に締結された、コンカーと三井住友カードによる「営業推進や協働商品の開発を軸とする戦略的業務提携」について、「それぞれの業界のリーディングカンパニーが手を結び、企業や自治体のDX推進を支援する新しい商品の開発や営業協働に取り組むことが目的」と述べた。企業の支払いが三井住友カードで行われれば、そのデータがコンカーのシステムと連携するため、データ入力作業が不要となる。コンカーと三井住友カードのシステム、その両方を使うことが企業にとって大きなメリットとなることから、この両者はタッグを組んだ。

この2社の連携は、自治体にも大きなメリットがある。長谷氏は、請求書管理に役立つソリューションとなるのが、コンカーのサービスである「コンカーインボイス」だと話す。コンカーインボイスは、財務会計システムの歳出管理の中の支出負担と支出命令を最適化する。長谷氏は、「財務会計システムに手を加えるというものではなく、支出負担、支出命令という、職員が手で入力、チェックをしているフロント部分をコンカーのクラウドサービスに置き換えます。この業務を最適化し、ペーパーレス化を実現。最終決裁されたデータは財務会計システムに必要なデータを抽出し、ブリッジプログラムという中間サーバーを置くことで自動的に連携できる仕組みになっています」と紹介した。

例えば、電子請求書はもちろん、紙やPDFの請求書はAI+OCRや代行入力で入力作業を効率化、これまで目視でチェックしていた項目は各自治体の規則や規定をシステムが自動チェックすることによってチェック工数を削減する。さらには、データを起点とした業務再設計により、これまで複数段階あった承認フローをシンプルにし、決裁フローを簡素化する。

「デジタルを活用した劇的な業務の効率化やペーパーレス、システムによる事務の信頼性向上を体験できれば、職員の方々のデジタルに対する不信感を払しょくでき、DXに対して前向きに取り組んで頂く効果も期待できると思います」。

データ連携や不正防止機能も
三井住友パーチェシングカード

請求書管理業務の効率化を担うのがコンカーインボイスなら、支払業務の効率化を担うのが三井住友カードの「パーチェシングカード」である。

図 パーチェシングカードを中心とした支払い事務合理化

出典:三井住友カード

松井氏は、自治体が支払いでクレジットカードを利用することは、地方自治法及びその関係法令の規定に抵触しないということ、かつ、利用から支払いまでにタイムラグがあるクレジットカード利用において、例えば3月利用の支払いに関しては出納整理期間の5月末までに済ませればよいという通達が、総務省より発信されていることに言及した。また、「今後、振込手数料の有料化または金額の引き上げという動きもある。ぜひ、三井住友カードのパーチェシングカードを活用してほしい」と話した。

このカードの特長は3つ。1つ目が、パーチェシングカードは部局やプロジェクト単位で名義決定ができ、支払いを一本化できるため業務の効率化につながること。2つ目は、継続的な支払いやeコマースにおける支払いに使い続けることで、支払い漏れを防止できること。3つ目が、パーチェシングカードを利用した支払いにおいては、請求書や領収書も含めたデータ還元が行われるため、取引業者側の不正を防止できることだ。不発行型のためカードそのものの管理が必要なく、一定の支払いだけに使うという制限も可能になっている。

パーチェシングカードを利用している自治体の声として松井氏は、「やはり、大量にある納付書や請求書の処理を非常に負担と感じておられ、それを簡略化する目的でご利用頂いています」。また逆に、支払い方法がクレジットカードに限るようなケースも増えており、自治体がクレジットカードを導入するメリットは大きいと述べた。

パーチェシングカードを使った具体的な支払事務の合理化例として、「例えば通信事業者等に対する支払いが納付書払いの場合、大量の納付書を受け取った経理担当者が仕訳・入力・出金処理を行い、金融機関への出金指示といった作業には膨大な手数がかかっている。パーチェシングカードに切り替えれば、支払いを一本化できるだけでなく、データ還元により会計データ入力の効率化も図ることができます」と述べた。

SDGsに関わる新しい
サービスも展開

最後に松井氏は、現在開発を進めている2つの新しい自治体サポートサービスについて紹介した。

1つ目は、二酸化炭素排出量の算定業務に関わるもの。法人カードを利用した経費におけるCO2排出量をデータ還元するサービスを今年度リリースする。例えば出張などで飛行機を使用した場合、その飛行機代の精算に三井住友カードの法人カードを使えば、決済金額を基にCO2排出量を算定しデータ化される。また、三井住友銀行が提供をしているCO2排出量算定・削減支援クラウドサービス「Sustana(サスタナ)」へデータ連携を行うことも可能となる。

もう1つが、バーチャルカードナンバーだ。これは、パーチェシングカードを親番号に、取引ごとに使い切りの番号を採番して使えるサービス。番号ごとに、そのカード番号を何回、いくらまで、いつ、どんな業種で使えるかなど利用条件を自治体自身で自由に設定できる。「実際の取引額よりもはるかに大きい与信枠には不安もあると思いますが、取引ごとに個別に与信枠を設定することで、安心安全にお使い頂けます。パーチェシングカードによる効率化の達成に加え、さらなるガバナンスの強化や突合性の向上につながります」と松井氏は指摘する。

自治体が抱える課題に、三井住友カードとコンカーがさらなるソリューションを提供し、自治体にとっての一大プロジェクトであるDX推進を支援したいと話し、講演を締めくくった。

 

お問い合わせ先


三井住友カード株式会社
MAIL:okadaman@smbc-card.com
URL:https://www.smbc-card.com/camp/hojinkeihiseisan/

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