地方創生人材の育成を多角的に支援する「地方創生カレッジ」
地方創生カレッジでは、官民が連携して地域の課題解決を考える出張講座「官民連携講座」や、地方創生の将来の担い手である学生向けに「地方創生」についてジブンゴトとして考えてもらう取り組みなど、地方創生を担う人材の職業や年齢などの属性に応じて多角的に育成を支援する取り組みを行っている。
出張講座で官民連携して
地域の課題解決のヒントを得る
地方創生カレッジでは、eラーニング講座と併せ、必要に応じてスクーリング形式の実地講座も効果的に取り入れている。例えば、地域ごとに異なる課題への具体的な対応へ向け、社会課題解決へのプロセスを官民が一緒になって考える対面での出張講座「官民連携講座」も、その1つだ。
官民連携講座は、自治体の職員や地域の企業・団体の役職員などを対象とした講座で、eラーニング講座による事前学習や第一線の講師による当日の講義、実践的なワークショップを組み合わせた内容となっている。自治体の職員と地域の企業・団体の役職員らが、自らの地域の社会課題解決へ向け、ひざ詰めで議論する場を設け、官民が連携して地域のニーズや課題に応じた具体的な解決策へのヒントを得ることができる。
例えば、北海道の岩見沢市と札幌市で令和5年11月に開催された官民連携講座「地方創生カレッジ in 岩見沢・札幌」では、「まちの課題に当事者意識を持つ住民をどう増やすか」、「地域で何が起こっているのか」など、まちの未来を明るくするヒントを得ようと、北海道の自治体職員だけでなく、全国から自治体職員や企業・団体の役職員らが集まった。岩見沢市および札幌市のデジタル技術を活用した子育て支援策について、産官学連携による取組事例や行政の子育てサポート施策、大学と地域の連携などの講義に加えて、施設見学やグループワークなど、地域が一体となってスマートシティを実現するための手法について議論を行うことで、地域の課題解決に向けたヒントを得ている。
また、青森県青森市で令和5年2月に開催した官民連携講座「地方創生カレッジin青森」では、「データを活用して自らつくる 暮らしやすいまちづくり」をテーマに実施した。ここでも自治体の職員と地域の企業・団体の役職員らが、第一線の講師による講義に加え、官民が集ってのグループワークやワークショップを通じて、地域課題の解決にデータ利活用の必要性やデザイン思考を学び、地位の課題を解決する新たなサービスについてヒントを得たという。
地方創生カレッジでは、官民連携講座以外にも、自治体職員による地方創生につながる自由なアイデア創出を支援する「地方創生イノベーション発想塾」など、地域の事情に応じて、地方創生人材の育成を支援する取り組みを行っている。
次世代の地方創生人材の育成に
地方創生カレッジを活用
地方創生を推進するためには、学生などの若い世代が地方創生を“ジブンゴト”として捉え、自ら行動していくことが重要だ。
地方創生カレッジでは、大学などの教育機関と連携して次世代の地方創生人材を育成する取り組みも行っている。それが、令和4年度から実施している「学生が主役の地方創生プロジェクト」だ。このプロジェクトは、学生がeラーニング講座を通じて地方創生の基礎知識を学んだうえで、学生目線で地域の課題や将来を考えるワークショップや地方創生に携わる社会人との交流会などを通じて、地方創生に対する学生の意欲や関心の醸成を図るものだ。
令和4年度は、静岡県立大学と連携して「\静岡発/学生が主役の地方創生プロジェクト」を実施している。このプロジェクトでは、静岡県立大学の学生が中心となって県内の大学・高校の学生とともに、「学生の・学生による・学生のための地方創生」をコンセプトに、大学生の目線で地域の魅力を見つめ直し、同世代の学生が地方創生への興味・関心を高めていく取り組みを自ら企画・実践した。地方創生カレッジはその実行を支援した。
令和5年度には、秋田県立大学と法政大学による「学生が主役の地方創生プロジェクト」の実施を支援している。
秋田県立大学では、秋田県および由利本荘市と連携し、経営システム工学科の嶋崎真仁教授が担当する「あきた地域学アドバンスト」の授業の一環としてプロジェクトを実施した。プロジェクトには秋田県立大学の学生に加え、県内の高校生や県内在勤の社会人など幅広い年齢層が参加している。学生は地方創生カレッジのeラーニング講座を受講し、地方創生の基礎知識を学んだうえで、由利本荘市の未来や地方創生について議論するワークショップやプロジェクトの成果を発表する「地方創生アイデア発表会」に臨んだ。
地方創生カレッジを担当する講義に取り入れた嶋崎教授は、プロジェクトを終えて「今回、学生が受講したeラーニング講座は、『地域人口推計』と『地域課題解決のためのデータの利活用』です。あきた地域学アドバンストの授業では、もともとデータを使って事象を客観的に見る演習を行っています。その裏付けとなる理論をeラーニング講座で学んでもらうことを意図し、2つの講座を選びました。特に、『地域人口推計』の講師を務める藤山浩氏は人口問題でオピニオンリーダーの1人となっている方ですので、その講義を無料で聞けたことは、学生や参加者にとって非常によい機会になったと思います。シラバスの工夫次第では、こうした取り組みも可能です。秋田県立大学での事例をきっかけに、地方創生カレッジを活用した取り組みが、他の地域・大学にも広まればと思います」と講評した。また、プロジェクトの企画に携わった由利本荘市総合政策課の職員は「高校生・大学生・社会人が1つになって地域について考える良い機会となりました。これをきっかけに地方創生を“ジブンゴト”とし、誰もが『いかに地域を良くしていくか』を考える機運を醸成していければと思います」とプロジェクトを振返った。
法政大学と連携 首都圏の学生が
離れた地域と向き合う機会を創出
法政大学では、首都圏の学生が離れた地域の地方創生をジブンゴトとして取り組むことをコンセプトに、長野県の白馬村・小谷村と連携して「法政大学生が地域とともに描く白馬バレーの未来」をテーマとした「学生が主役の地方創生プロジェクト」を実施した。法政大学では、地方創生の推進のためには、若い世代の育成とその世代意識の「ジブンゴト化」と地方創生意識の啓蒙活動が重要と考え、「学生が主役の地方創生プロジェクト」の存在を知り、手を挙げたという。首都圏にある法政大学が長野県の白馬村・小谷村の地方創生をテーマとしたのには理由がある。運動部の合宿所がかつて同地に所在したなどかねてより関係が深いからだ。
学生たちは、テーマに取り組むうえで必要な知識を地方創生カレッジのeラーニング講座で学び、そこで学んだ知識を活かしてグループワークを教員の指導のもと大学で実施した。そのうえで、白馬村・小谷村での2度のフィールドワークを経て、当地の事業者らとディスカッションを行い、地域課題に対する政策提言を「ジブンゴト」としてまとめ上げ、白馬村・小谷村や当地の事業者などにプレゼンテーションを実施している。東京でできることは東京で、当地でなくてはできないことは当地で取り組む点がこの「学生が主役の地方創生プロジェクト」の特徴だ。
地方創生カレッジでは、今後も教育機関や自治体などと連携して「学生が主役の地方創生プロジェクト」を通じて学生の地方創生への意欲の醸成を支援するプロジェクトを展開するという。
いつでも・どこでも・だれでも・
無料で学べる地方創生カレッジ
地方創生カレッジは、学習する時間や場所を選ばず、いつでもどこでも無料で学習できる地方創生のナレッジベースだ。地方創生を学ぶ意欲さえあれば地方創生カレッジの活用の仕方は幅広い。地方創生を志す人は、地方創生カレッジを覗いてみれば地方創生のヒントがみつかるだろう。
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