変化する顧客ニーズに応える組織作り オルガノのデジタル戦略
産業構造や人の考え方を含む社会の変化が急速に進む中で、企業を取り巻く環境も変わってきた。その変化に対応し、将来の「ありたい姿」を実現するために、企業は今、何をしなければならないか。事業構想大学院大学では、水処理技術で事業展開するオルガノの事例からこれを考えるウェビナーを開催した。
多様化する水処理ニーズに
合わせた社内変革
水処理における高度な分離精製技術を誇るオルガノ。事業の柱は大きく2つで、1つは、河川や地下水などの原水から不純物を除去または低減し、半導体製造等に必要な純水や超純水を作る設備等の、設計・施工からメンテナンスまで行う水処理エンジニアリング事業。もう1つが、水処理や冷却水の機能をより効果的にするために使用する薬品等の機能材料や、食品機能を向上させる添加物等の機能商品事業である。「水処理技術でお客様企業や社会の課題を解決することは、創業以来一貫した当社の取り組みであり、現在の企業理念に通じるものと考えています」と、最初に登壇したオルガノ取締役執行役員の本多哲之氏は説明した。
プラント系ビジネスは、設備の設計・納入、その後の運転管理やメンテナンスを行いつつ、新たな技術導入や改善提案も行う。「そのバリューチェーンにおける多くの場面で、情報伝達、意思決定や判断が、総合的な価値提供の向上に大きく影響します。70年以上にわたってこれを繰り返してきた当社は、情報や判断材料をノウハウとして蓄積。その反面、これが属人化したままでは、今後の事業展開や成長にとってリスクとなり得ます」と本多氏。顧客が要望する水処理装置の規模や使用方法は、これまでスペックで定義されていたが、今後は、利用目的や利用方法の変化、多様化が見込まれ、水処理における価値提供のあり方も進化させていく必要がある。「今後のバリューチェーンを強靭にするためには、デジタル技術の活用と業務の変革が必要不可欠。そのためには、当社らしいDXを推進する人材育成にも注力する必要があります」。
そこで策定したのが、オルガノの2030年における「ありたい姿」を目指す「ORGANO2030」だ。まずは基盤構築の1つとして、社員の意識や社内文化の改革とともに、エンジニアリング業務における提案や実装化の経験を通して、知識と実践力の両方を身につけた人材を育成。さらに、顧客の課題探索や解決策の導き方にデジタルを使った新たな手法を取り入れていく。
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