自治体クラウド移行の課題と、移行に向けたシステムの最適化

自治体クラウドの移行に向けたシステム最適化のポイントとは何か。AWSディストリビューションパートナーのネットワールドと、AWSアドバンストティアサービスパートナーのJTPが紹介する。

株式会社ネットワールド マーケティング本部 クラウド推進部 クラウドビジネス課 嶋田悟氏

AWSへのクラウド移行を支援

ネットワールドはディストリビューター、いわゆるITの専門商社だ。AWSアカウントをリセールし、AWSパートナーへクラウドビジネスの開発支援を行う。エンドユーザーの自治体とは直接関わらないが、陰で支える存在だ。

「当社は社員の4分の1が技術者であることが大きな特徴です。他のディストリビューターには単純に商品を卸すだけのところもありますが、当社は技術者を抱えているので、技術的支援も加えた上で製品を卸すことができます。多くの製品を扱っていますが、現在はAWSのビジネスに注力しています」（ネットワールド 嶋田悟氏）

例えば、NetAppのストレージとAWSのクラウドをつないで管理するような複数製品を組み合わせたアーキテクチャの構築や、サードパーティ製品のAWS環境への導入支援を提供。オンプレミスとクラウドのハイブリッド型プランニングも可能だ。また、オンプレミスのVMware環境をアセスメントした上で、AWSへの最適な移行を提案する「CloudPath Services Assessment」も提供している。

「アセスメントなしでAWSに移行するとコストが嵩むこともあります。アセスメントを行い、単純にAWSに移行するのか、それとも複数のアーキテクチャを組み合わせた形で移行するのか、様々な選択肢を設けた上でご検討いただき、コスト面のメリットをご理解いただきます。クラウド移行に不安がある自治体に、ぜひご利用いただきたいです」（嶋田氏）

最適化への3つのソリューション

JTPは、日本に進出する海外のテクノロジー企業向けに技術サービスを展開してきた企業で、現在はAWSをはじめとするクラウド環境の設計構築と運用や、AI・データ活用のための導入サポートを展開している。

「システム最適化における課題は、コストとセキュリティです。その解決のため、『セキュリティアセスメント』『コスト最適化』『マルチアカウント統制管理』というソリューションを提供しています」（JTP 坂本和隆氏）

JTP株式会社 システムコンサルティング事業部 パブリックアカウント部 部長 坂本和隆氏

セキュリティアセスメントとは、システムやデータなど情報資産に対するリスクを分析・評価し、リスクに応じた対策検討を行う活動を指す。ユースケースは、システムのリリース前後と、更改時の3つだ。JTPはアセスメント結果の分析レポートも作成し、それを受けた次の行動の検討・支援も行う。

「2つ目のコスト最適化ですが、一般的にクラウドコストはオンプレミスから何も対策を取らなければ増加します。コスト最適化の時期は、システムの導入前後です。民間企業の例ですが、コスト最適化の取り組みにより、クラウド利用料を対前年比で44%削減した企業もあります」（坂本氏）

3つ目のマルチアカウント統制管理は、複数アカウントを統合的に管理・統制し、全体のセキュリティリスクやコンプライアンス、コストを一元管理する仕組みのことだ。現状はシステムや環境ごとにアカウントを持つ自治体が多いが、セキュリティや運用効率向上のため、JTPではAWSソリューションでガバナンス統制されたマルチアカウント環境の実装を支援している。

「当社の技術知見が課題解決の一助になりましたら幸いです」（坂本氏）