「創発の場」が生む新しい視点 北広島の課題解決の構想発表

「創発の場」が生む新しい視点
北広島の課題解決の構想発表

11月26日、北海道北広島市のエスコンフィールドHOKKAIDOにて「北海道事業構想イノベーションラボ」の中間発表を実施した。

2025年6月に開始した本研究会には、道内外から20名のプロジェクト研究員が参加する。北広島市域の課題解決に資する事業構想をテーマに研究し、中間発表段階では、教育・人材育成、観光・エンターテインメント、地域活性化・インフラなど多岐にわたる分野で構想が披露された。

当日は、北広島市の上野正三市長、川村裕樹副市長、エスコン代表取締役社長の伊藤貴俊氏も出席した。

上野市長は「本市ではボールパーク構想を中心に、地方創生を力強く進めているところであり、新しい視点と情熱を持った皆様に研究を進めていただけることを大変嬉しく思っています」、続いて、川村副市長は「本日の発表を通じて、私自身も多くの気づきを得ました。人口問題に対し、『どんな人に関わってもらうのか』『二拠点居住の可能性』『定住以外の関わり方』『地域の困りごとにどう応えるか』など、人口の“質”や“関わり方”に踏み込んだ視点が多く示され、大変有意義でした」とコメントした。

また伊藤社長は「非常に良い学びと創発の場がつくられていると感じています。3月の最終発表に向けて、実装が見えるところまで構想を磨き上げていただけることを期待しています」とエールを送った。

中間発表でのフィードバックを踏まえ、新たに得た気づきをもとに、2026年3月の修了を見据えた構想のブラッシュアップを進め、最終的に「事業構想計画書」を策定する。

（左）「北海道事業構想イノベーションラボ」の11月に実施した中間発表の様子。
（右）エスコンフィールドHOKKAIDOの他、北広島市内の会場を拠点に研究会を実施

企業内で挑戦者を生み出す
富士通のカルチャー変革

11月19日、「プロジェクト研究 第4回アルムナイイベント」を開催し、富士通で新規事業創出プログラム「Fujitsu Innovation Circuit（FIC）」を統括する吉越輝信氏と、同プログラムから生まれた第一号出向起業であるBLUABLE代表取締役の魚谷貴秀氏を講師として招いた。テーマは「富士通が取り組む『挑戦者』を生み出すカルチャー変革 〜出向起業BLUABLEの構想と立ち上げ〜」。企業文化変革の実例と、新規事業を起点とした社会課題解決のリアルが語られた。

講演の前半では、吉越氏がFICの取組を紹介した。FICは、ボトムアップ型で新規事業を生み出すための全社プログラムであり、多層的な支援が特徴だ。吉越氏は「挑戦が当たり前になる企業文化をつくることが、富士通のこれからの10年を支える」と語り、挑戦者の背中を押す風土づくりの重要性を強調した。

続いて、FICから誕生したBLUABLE代表の魚谷氏が登壇した。同社は、藻場の再生と、海藻によるブルーカーボン創出を事業化するスタートアップであり、富士通の3名の社員で2024年に創業した。魚谷氏は、海の生態系が直面する危機やブルーカーボンの可能性を説明し、従来は採算が見込めなかった藻場造成を、持続的な事業モデルとして成立させた経緯を紹介した

後半は、起業や事業化に向けての壁をどう乗り換えたか等、実体験を聞きながら、ディスカッションを行った。参加者からは「富士通の社風改革、人材育成の取組が非常に刺激になった」「社内ベンチャーの立ち上げについて、具体的で生の声を聞けたのが良かった」といった声が上がり、実践的な学びの場となった。

アルムナイイベントは、研究修了生同士が新たな知見を得てつながり直す貴重な機会として、今後も継続して開催していく。

富士通の新規事業創出プログラムを統括する吉越輝信氏（左）、
第一号出向起業であるBLUABLE代表取締役の魚谷貴秀氏（中央）が登壇した