ユニ・トランド 運行情報の可視化を実現 地域交通の課題を解決

公共交通のDXをサポートし、路線バスの業務改善やルート再編などを手掛けてきたユニ・トランド。地域の生活路線の利便性向上および観光地における交通アクセスの向上などにも貢献するIT企業だ。ユニ・トランドの玉山氏と、ユニリタの冨永氏が、地域交通の課題解決への取組みについて紹介した。

地域交通のデータ化と可視化、
分析のサービスを提供

ユニ・トランドは、自社のIT技術を活用し社会課題の解決を目指す事業を展開する、東証スタンダード上場会社、ユニリタの100パーセント子会社。全国の移動体(主にバス)の約4000台にデータ収集センサーを設置し、バスの位置情報や利用者データの見える化などを通して、出発地点から交通網への移動に困難がある「ファーストワンマイル」の課題解決を推進している。

図 交通・観光関連の導入実績

ユニ・トランドでは、全国の移動体、約4000台にデータ収集センサーを設置した

ユニ・トランドの玉山三四郎氏は、今回のウェビナーでまず、交通課題を解決するための、持続可能な運行情報の可視化分析基盤となる3つのサービスについて紹介した。1つ目は移動体(主にバス)の遅延情報、乗降者数など日々の運行情報をデータ化し、収集する「運行情報のデータ化(IoTデータ収集サービス)」。データ化だけではなく、バス利用者の利便性向上に繋がるサービスも併せて提供可能だ。具体的にバスの利用者がQRコードをスマホのカメラで読み取ると、現在時刻をもとに次に到着するバスの候補が並び、併せてバスの運行情報や、混雑情報などが確認できる。また、自身が乗車したいバスを選択すると、地図上に乗車する路線の経路とバスの位置情報が表示され、目的のバスがどこまで近づいてきているのかを把握できる。

ユニ・トランド 玉山 三四郎氏

ユニ・トランドは2016年から、北海道のある自治体のコミュニティバスでDXに取り組んだ。時刻表のデータ化とデータ整備、検索サービスの導入、バスの位置情報を可視化する同社の「バスロケ」の導入、主要バス停留所でのデジタルサイネージの導入などを進めた。この事例では、同自治体のバスの総利用者数は2017年の24万人に対して2019年には32万人と、3割増加した実績が出ている。

2つ目は、データ化された運行データをBIツール(データを分析・見える化して、経営や業務に役立てるソフトウエア)を活用して蓄積し、様々な切り口で可視化する「ツール(MANALYZE)サービス」。具体的には、指定した期間と系統のそれぞれのバス停で何人乗って何人降りたのか、またバス停とバス停の間で車両内に何人の乗客がいたのか(車中人数)を確認できる。Googleマップ上で系統の経路線と共に、バス停が乗降者数の大小に応じて色分け表示され、乗降者数の多いバス停を把握できるほか、計画していたダイヤの時刻と、実際に発車した時刻をグラフ化する。「乗降者数のデータを自動収集、蓄積、可視化できます。ユーザーである地方公共団体やバス事業者は、このような乗降者数や遅延状況のデータを、ダイヤ改正検討の基礎情報として活用しています」と玉山氏は語る。

3つ目が、「専門家による考察(MA-Pサービス)」。これについてはユニリタの富永優平氏が詳細に解説した。ベーシックサービスでは、停留所別の遅延状況や要因を分析する「遅延状況分析レポート」と、停留所別の乗車人数や降車人数を基に集計、地図上での可視化を行う「情報データ分析レポート」、ODデータ(出発地と到着地[目的地]の組み合わせの利用者数を表すデータ)を基にした集計や可視化、移動パターン等がそれぞれ把握できる「人流データ分析レポート」を提供。これはデータを使って現状を把握してみたい、あるいはまだ課題が顕在化していない顧客向けだ。

ユニリタ ソーシャルイノベーション部 データサイエンティスト 冨永 優平氏

課題が明確化されているケースには、1歩進んだ分析サービスであるアドバンスサービスを提供している。対象エリアの交通空白地帯やハブ地点などを抽出する「交通網分析レポート」、観光スポットの頻出ルートの抽出や、スポット間の遷移確率などを抽出する「観光ルート分析レポート」だ。また、開発中のサービスである「AI予測シミュレーション」では、天候などの外部データを組み合わせた路線再編成のシミュレーションなどができるようにする予定もある。

観光の利便性高める時刻表、
バス路線の提案を実施

ユニ・トランドでは国の事業として、2019~21年度に3カ年の北海道観光振興主催の二次交通発信事業で、地方創生モビリティコンソーシアムの幹事会社として活動した。インバウンド観光客の観光満足度を高めることを目標に、北海道全域における2次交通情報のデジタル化、オープンデータ化を行い、北海道の隅々まで効率的に移動することができる仕組みと環境を構築した。また、観光地を結ぶ交通の利便性を向上させるために、それぞれの情報を活用し、データ分析を実施した。

玉山氏はこの北海道での事例を具体的に紹介した。まずは、北海道の2次交通(拠点となる空港や鉄道の駅から観光地までの交通)情報の収集、運行情報のデジタル化の取組だ。これにはバス、フェリー、市電、コミュニティバスなど北海道の8割以上の2次交通団体が参加。時刻表やバス停情報などのアナログな運行情報をGTFS―JP(オープンデータフォーマット)に変更し、データサーバでデータを一括管理した。一括管理されたデータは、Google Mapや中国からの訪日客が使う百度地図、世界規模で利用されるMoovitなどにも情報をアップした。さらに、地域事業者が自走化できるよう基本情報の更新の仕組みをつくった。加えて、北海道の観光地100カ所を分析し、観光地を結ぶ交通の利便性を高めるための理想的な時刻表、路線の提案を行った。

ファーストワンマイルの
課題解決を目指して

玉山氏は講演の最後に、同社が提唱するコンセプト「Imagine City」について言及した。このコンセプトには、「地域住民が一緒に想像し、創造していく街づくりをユニ・トランドの技術を活用し、お手伝いする」との思いが込められている。特にファーストワンマイルの課題解決を目指している。

その実践のためのキーワードは3つある。活動機会の創出の原点となる交通の利便性向上を目指す「ワンマイル」では既存の交通利用状況や人口分布データを分析、可視化。葉・枝から幹への乗継ぎの利便性向上を図る「交通、観光」では、ハブとなる待合所でのサイネージ設置やバスロケーション、混雑度表示を提供する。活動機会そのものの創出を目指す「目的作り」では、新たなMaaS創造のITサービスを提供できることを紹介。地域交通が抱える課題解決に向け同社が果たすことのできる役割を強調した。

 

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株式会社ユニ・トランド
MAIL:ml-unitrand-info@unitrand.co.jp
電話番号:03-5479-5750

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