成功する提案制度は何が違う?制度を風土に昇華させる3つの視点

多くの企業が取り組んでいる新規事業提案制度。事業構想研究所 副所長の丸尾聰教授は、コロナ禍で社会情勢が一変したいま、制度のあり方が従来とは3つの点で異なると指摘する。成果を出す制度は従来と何が違うのか。取材事例をふまえ考察いただいた。

コロナ禍で従来のビジネスモデルを見直すことを迫られる企業も多い。社員から多様なアイデアを募る提案制度は事態打開の一策となる可能性を秘めている

成功する提案制度に見る
3つの視点

新規事業の事業構想を、社員の自発性に託す「提案制度」を創設、あるいは、再構築する企業が増えている。過去にも、社内ベンチャー制度に代表される「提案制度」を通じて、新規事業に取り組む企業はあった。「本業の成長限界」に危機感をさらに募らせ、「事業機会の探索」と「組織風土の活性化」を掲げ(注1)、コロナ禍にあっても、社員発の事業構想が成果を生んでいる企業がある。

過去の「提案制度」の設計や成果にも、経営コンサルタントとして多数の企業を見てきた筆者から見て、現在の「提案制度」は、3つの点で大きな違いがある。

図 成果を生む提案制度

出典:原稿内容を元に編集部作成

 

① トップの深いコミットメント

1点目は、「経営トップによるコミットメントの深さ」である。

かつては、本業の片手間であり、成功の期待も低く、提案者の能力と意思に委ねられ、それを担当部署が見守る程度の制度が少なくなかった。しかし、現在の制度は、経営トップが最優先施策として掲げ、投資をしている(注2)。さらに自ら、提案者のメンター役をする経営陣もいる(注3)。事業構想に知見のある社員を「事業構想インキュベータ」として専従させ、社内外の資源を集め、提案者のサポートを拡充している。

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