ドコモビジネスと進める自治体・地域DX

NTTコミュニケーションズは新しい法人事業ブランド「ドコモビジネス」を展開、グループのアセットを活用してDX活用支援を充実させ、自治体・地域の課題解決に貢献していく。5Gを活用した地域課題解決や、RPA・AI-OCRによる業務効率化、DX人材育成などの事例を紹介する。

自治体と連携協定を締結し、
多様な分野のDX推進を支援

NTTドコモは2022年1月、NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアを子会社化した。同年7月、NTTコミュニケーションズに法人営業機能を統合し、法人事業ブランドとして誕生したのが「ドコモビジネス」だ。ドコモビジネスが提供する自治体向けDXソリューションについて4名が登壇し、サービスの概要や導入事例を紹介した。

まず、NTTコミュニケーションズ ソリューション&マーケティング本部 事業推進部 地域協創推進部門長の池田健一郎氏が「ドコモビジネスと進める自治体・地域DX」をテーマに講演。池田氏は「各社の持つ5GやAI、IoT、ビッグデータなどのさまざまなICT技術、各業界のパートナーのアセットと、これまで培ってきたネットワークやクラウドを融合させ、地域が抱える多様な課題の解決につなげていきます」と語る。

池田 健一郎 NTTコミュニケーションズ ソリューション&マーケティング本部 事業推進部 地域協創推進部門長

とくに注力するのが、国が推進する地方創生施策をふまえた地域協創の取り組みだ。2022年6月末時点で連携協定は83件(うち、自治体との協定は71件)を締結(NTTドコモでの連携協定に限る)。少子高齢化や地域産業の衰退などの地域課題の解決に向けて、さまざまな分野のDX推進を支援している。

「DX推進における課題および対策の整理から、関係部署との対策案の検討、パートナー連携による事業の具体化まで、DX推進の計画策定から実証・実装のあらゆるフェーズで支援します。行政のDX推進、暮らしやすいまちづくり、産業振興などのさまざまなテーマにICTを活用し、地域課題の解決に自治体の皆様と一緒に取組んでいきます」と池田氏は述べた。

5Gの活用が後押しする
地域の課題解決

続いて、NTTドコモ四国支社徳島支店長の井上篤弘氏が「自治体×5Gの取り組み」について紹介した。

井上 篤弘 NTTドコモ 四国支社 徳島支店長

地域課題が多様化する一方、自治体では職員数、税収が減少しており、行政サービスの低下が懸念されている。井上氏は「地域課題の解決に果たすDXの役割がますます大きくなっています」と述べ、そこに高速、大容量、低遅延、多数の端末接続という特徴を持つ5Gを生かす視点の重要性を指摘。「5GこそがDXを進化させる基盤です」と強調する。

「NTTドコモは従前よりさまざまな地域課題に対してモバイルの特性を活用した解決策を提案してきましたが、5Gを活用すれば、4G と比較して、さらなる機能の向上や従来実現できなかった新たな解決案の創出が可能になります」と、井上氏は4つの課題解決事例を紹介した。

「障がい者の社会参画」では、自分の分身となる遠隔操作ロボットを活用し、受付・接客業務での障がい者雇用促進を進めている。4Gでは難しかった低遅延かつ円滑なロボット操作やリアルタイム双方向コミュニケーションが実現した。「除雪」では、遠隔で除雪作業車を稼働させることで作業の効率化と作業者の安全確保などに役立てている。遠隔操作の低遅延化、車体カメラからの高画質映像伝送など5Gの特徴が活かされている。

「救急搬送」では、救急隊員が装着したARグラスの映像を通じて病院と情報連携を図り、受け入れ判断の迅速化などを実現。5Gの高画質映像によって、患者の容態を詳細まで確認できるようになった。「農業」ではスマートグラスを活用した技能伝承を実施。若手従事者に指導員が遠隔で指示できるほか、スマートグラスに調べたい情報を映し出すこともできる。

RPA、AI-OCRの活用で、
正確・迅速な業務改善を支援

NTTコミュニケーションズの川野陽子氏は、「共同利用型RPA・AI-OCRを活用した行政事務のDX」について紹介した。

川野 陽子 NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部 コミュニケーション&アプリケーションサービス部 第一サービス部門 第八グループ 第七チーム担当課長

「少子高齢化を背景に自治体が労働力不足に直面しており、働き方改革や業務のDXが必要です。RPA(PC上の定型業務の自動化ツール)とAI-OCR(書類文字のデータ変換ツール)の包括利用のプラットフォームサービスを活用することで、正確かつ迅速に業務効率化を推進できます」

同社が提供する「スマート自治体プラットフォームNaNaTsu®」では、RPA・AI-OCRの利用サービスに加えて、管理・統制サービスと自治体コミュニティサイト機能も提供。管理・統制ではIT部門が簡単にRPAの利用状況を把握できる仕組みを提供、システム構築不要で管理統制を実現する。コミュニティサイトは自治体業務に特化した自動化シナリオ、AI-OCR帳票をダウンロード可能なほか、ユーザー同士での情報交換や質問投稿も可能だ。

「スマート自治体プラットフォームNaNaTsu®」は複数の自治体での共同利用も可能で、ある県では県内市町村の業務効率化を進めるために活用している。「弊社と県の二人三脚で、各自治体の共通業務を洗い出しRPA化することにより、標準的なプロセスの構築を実現できました」と川野氏。導入効果を最大化できるよう「検討」、「トライアル」、「本導入」の各段階で手厚いサポートも提供する。

eラーニングの活用で
自治体DXのはじめの一歩を

最後に「gaccoを活用した自治体DX推進事例」をテーマにNTTコミュニケーションズの新高勇飛氏が登壇。gaccoは日本最大のMOOC(動画学習)によるeラーニングサービスで、累計500以上の講座をそろえ、登録者数も100万人を超えている。

新高 勇飛 NTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 スマートエデュケーション推進室

法人向けの「gacco for Biz」では、ビジネスパーソンとしての広い見識と高い視座を身につけるための「MOOC講座(一般教養)」のほか、社会人にとって必要なビジネスマインド、スキルを提供する「ビジネス基礎講座」、自治体独自のマニュアルなどの資料を取り入れ動画化できる「自社製作講座」を提供。オプションの「スキルアップ講座」では、デザイン思考、AIの活用スキルなど専門的な内容がそろう。

「gaccoは、受講者の進捗状況や視聴時間などが管理でき、多拠点同時でのオンライン研修にも対応し、デバイスを選ばずいつでもどこでも利用できるなどの特徴があります」

自治体での活用事例としては、自治体職員向けにDXスキル獲得を目指す例や、地域企業のDXリテラシー向上を目指す例とがある。前者では職種別や習熟度別などさまざまな切り口に応じたコンテンツを提供しており、後者は広島県や岡崎市が地域企業のデータ利活用人材育成などに活用した事例があるという。

「AIやRPAを導入する前段階で、gaccoを活用することで職員や中小企業DXの“はじめの一歩”を実現できます」と新高氏は述べた。

 

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ソリューション&マーケティング本部
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