梅守本店 揺るがない理念を軸に体験教室や宿泊業に進出
奈良市を拠点に、寿司の店舗販売と通販、寿司体験教室、宿泊事業等を展開する梅守本店。家族が抱える特有の事業から生まれたミッション「ひとがひとを大切にする社会をつくる」がそれぞれの事業の根底に流れている。創業者で社長の梅守康之氏と、宿泊事業を立ち上げた後継者の梅守志歩氏に話を聞く。
愛する家族の疾患に直面して
たどり着いたミッション
創業者で社長の梅守康之氏は家業を13年間手伝った後、1989年に妻の節子氏と二人で大阪市内に回転寿司店を開業。ところが、開店後3カ月で売上が半減する。辞めるべきか続けるべきか。康之氏は人生の岐路に立たされたが「父に借金の保証人になってもらっていたため、『辞める』という選択肢はなかった」という。その後、奈良に拠点を移して店舗網を拡大したが、今度は回転寿司ブームで競争が激化。競合のない分野を求めて立ち上げた、駅ナカでのわさび葉寿し販売が大ヒットした。
そんな折、4人の娘のうちの四女が白血病に侵され、辛く長い入院を余儀なくされる。同室に入院する子どもたちにひとときでも楽しい思いをと寿司パーティーを開催。みんなで手巻き寿司をつくり、おいしそうに食べる姿を見て胸に迫るものがあった。「長女も先天的な心疾患と発達障害を患っており、そうしたつらい状況にある人たちの思いに応えることが自分たちの役割ではないか」との考えに至り、「ひとがひとを大切にする社会をつくる」というミッションに辿り着いた。
2013年、寿司づくりの体験教室「うめもり寿司学校」を開校する。初動こそ鈍かったが、三女の志歩氏が香港の商談会でインバウンドの誘致に成功すると、旅行会社とのネットワークが広がり、6年間で40万人を受け入れた。しかし、コロナ禍のあとインバウンドの団体旅行はかつてほど戻っていない。康之氏は「寿司を通して日本文化を体験してもらい、世界中を笑顔に、という思いはそのままに、新しい形態を模索中」と復活に意欲を燃やす。
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