デジタルグリッド 自治体再エネ導入のポイントと好事例
脱炭素に向けて自治体では再生可能エネルギーの導入が求められているが、具体的にどのような方法があるのか。デジタルグリッドの池田陸郎氏が事例を交えて解説する。
534自治体がゼロカーボンを表明
加速する自治体の取り組み
脱炭素に取り組む自治体は着実に増加している。「2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロ」を表明する自治体は、東京都、京都市、横浜市など534自治体(1月31日時点)存在する。
また、脱炭素の目標イニシアティブ「再エネ100宣言」には、赤磐市、岡山市、さいたま市、久慈市、福知山市などの自治体も参加している。再エネ100宣言は、企業が使用電力の100%を再エネで調達することを目指す国際イニシアティブ(参加企業は年1回の報告義務あり)「RE100」の参加要件に当てはまらないが同等の目標をもった国内の団体が参加できる。
温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーは、国内では太陽光、風力、水力、地熱など全部で7種類が規定されている。また、国内では再エネにより発電された電気と再エネ価値は一度切り離されて、再エネを必要とする施設が直接的に再エネ電源につながっていなくても、再エネ電気を使える仕組みが整備されている。つまり、Jクレジットや非化石証書を購入することで再エネを利用したと見なされるわけだ。
ふるさと納税で「電力」返礼品
非化石証書の一般入札も
では自治体は具体的にどのような方法で再エネを導入・活用すればよいのか。いくつか事例を見てみよう。
京都府と京都市は、連携プログラム「京都ゼロ円ソーラープログラム」によって初期費用ゼロで太陽光発電設備を導入できる仕組みを構築している。住宅や事業所に太陽光パネルを設置、所有者となる「ゼロ円ソーラー事業者」からパネルの発電する電力を購入することで、住民はゼロ円で自宅へ太陽光パネルを設置できる。これにより京都府と市は、域内での再エネ導入の拡大を目指す。
ふるさと納税では、再エネ電力を返礼品にする仕組みが広がってきた。ふるさと納税で地元等の電力を得たい人は、再エネ電力を扱う新電力会社等と契約することで自分が寄付する自治体から電力供給を受けることが可能になる。支払う電気料金のうち、寄付額の3割までの金額を割り引く仕組みだ。群馬県中之条町や富山県氷見市など地域に創設された新電力会社が電力供給を担う事例があるほか、「自治体と既存の新電力事業者が連携した取り組みなども考えられます」(池田氏)という。
京都府では府庁舎の消費電力を再エネ化・ゼロカーボン化するために非化石証書の調達を一般競争入札で実施した。「電力契約を切り替えることが難しい場合でも、調達している電力と同じ分の非化石証書を調達さえすれば、庁舎が再エネ100%にすることができるという取り組みです」(池田氏)
環境省のWebサイト「再エネスタート」では、自治体・企業・個人を対象に、再エネの導入方法を解説している。電力切り替えと発電施設の設置の2つの方法について詳細に解説するとともに、先行事例の紹介を行っており、こうしたサイトも参考にしながら自治体は地域の脱炭素を推進していく必要があるだろう。
デジタルグリッドでは、「電力を生む発電家」と「電力を買う需要家」が直接売買できるシステムを備えたプラットフォームを提供するほか、非化石証書の代理調達サービス等も行っている。「興味のある自治体はぜひお問い合わせください」と池田氏は述べた。