三井住友カードとコンカーが連携 自治体のDX推進を強力にサポート

2020年9月に戦略的業務提携を結んだ三井住友カードとコンカー。経費精算のキャッシュレス化・ペーパーレス化へ、サービス開発を加速している。デジタル化で民間に後れを取る公共セクターに、キャッシュレスデータを起点としたDXを提案する。

日本最大級のクレジットカード会社であり、キャッシュレスのリーディングカンパニーでもある三井住友カードと、経費・出張管理システムのトッププレイヤーであるコンカーは、2020年9月に戦略的業務提携を締結。ビジネスシーンにおけるキャッシュレス化、ペーパーレス化の実現を通じ、企業のDX推進を支援する。

経費利用や出張の事前申請を自動で行う「申請レス」、経費利用データの連携による「入力レス」、社内規定の範囲内かどうかを自動チェックし上長や経理部門の承認をなくす「承認レス」を実現し、2022年度を目途に、経費精算業務の完全自動化を目指している。

内部管理のDX化を提案

両社は、企業におけるDX推進の取組みを地方自治体へも展開。キャッシュレスを起点とした内部業務の効率化を提案し、自治体のDX推進をサポートする。

業務の一部をデジタルに置き換えるのではなく、デジタルを起点に業務そのものを再設計し、業務変革を起こすのがDX。しかし、多くの自治体では、既存業務を変えることへの不安と抵抗感から民間に比べDXが進んでいないのが現状だ。

コンカー デジタルエコシステム本部の長谷大吾氏は「旅費業務も含め、キャッシュレスを起点にしたシステム構築を提案しています。効果を実感しやすい領域ですので、成功体験によって自治体職員の皆さんの意識を変えていきたいと思います」と話す。

長谷 大吾 コンカー デジタルエコシステム本部 部長

地方自治体においても、各種税金の支払い、証明書発行費用など、住民向けサービスに関するDXは確実に進んでいる。対して、内部管理に関しては優先度が低いためか動きが鈍い。さらに、地方自治法における支出手段の解釈などで二の足を踏む自治体も多い。

三井住友カード営業推進本部の矢部進也氏は「我々も以前から自治体に対しては、住民向けサービスのみならず、内部管理部分のビジネスキャッシュレスというアプローチはしてきました。しかし、コーポレートカードやパーチェシングカードといった法人カードに関しては、一部自治体による限定的な取組にとどまっています」と話す。

矢部 進也 三井住友カード 営業推進本部 大阪営業第二部部長

自治体職員もプライベートでは当たり前にキャッシュレスを使っているはずだが、内部業務になると途端に現金、手入力、目視チェックで紙の業務となる。コンカーの経費・出張管理システムと三井住友カードのコーポレートカードが連携することで、自治体のDXに風穴を開けていく。

デジタル化でガバナンスを強化

地方自治体では現状、旅費や経費の管理については、不正を起こさないため、目視で時間と工数をかけ厳しいチェックを行っている。それをキャッスレスデータにすることで、工数を一気に削減し、効率化できる。

図 旅費精算のデジタルトランスフォーメーションによる改革イメージ

出典:コンカー

 

自治体では、人の目で見るのが一番確実、といった意識が根強いが、コーポレートカードのデータは使用した個人を特定するため不正の余地はない。支払先、金額、日付といった実績、ファクトのデータから、規定にあっているかどうかをシステム的にチェックすることができる。

「デジタル化によってガバナンスはさらに高まるはずですが、従前の目視チェックの信頼感が高すぎることが導入のハードルとなっているように感じます」(コンカー・長谷氏)。

三井住友カードではこれまで、自治体向けの提案において、支払の簡便化や一本化などカードの持っている基本的な機能、支払事務的なメリットを前面に押し出してきた。しかし「クレジットカードの本当のメリットは、支出結果をデータ化できる所にある」(三井住友カード・矢部氏)という。

クレジットカードを介して支払いすることで、支出内容をデジタルデータ化し、そのデータを活用することで内部業務の効率化とガバナンス強化に繋げられるのだ。

「まずは入口部分をデジタル化し、最終的には、そのデータを活用して不正チェックや事務処理そのものを効率化していくというのが、自治体としての内部管理のあるべき姿ではないかと思います」(三井住友カード・矢部氏)。

内部業務をデジタル化していくことで、職員の意識、発想もデジタルが起点となっていく。そうした発想の転換が、今後の住民サービスやスマートシティなどの取組みに対する新しいアイデアにも繋がっていく。

自治体を完全キャッシュレス化

地方自治体へシステムの提案をしていく中で、まだまだ多くの壁もある。例えば、領収書などの紙のデータをデジタル化する部分では、自治体の規則や条例に縛られて変えられない部分もあり、そこから考えていく必要もある。

「経費や旅費精算はあらゆる自治体に共通した業務で、作業内容は同じなので課題も同じはずなんです。そこにどんな課題があり、どう乗り越えるかという事例を1つ作れば、パッケージ化、標準化できる。そうしたカタチで提案を進めていきたいと考えています」(コンカー・長谷氏)

三井住友カードでは、プラスチックカードを発行せず、クレジットカード番号と三桁のセキュリティコードだけを渡す、バーチャルクレジットカードであるパーチェシングカードの導入などを、既にいくつかの自治体で実施している。コンカーとの連携を通じて、キャッシュレス化による簡便さだけでなく、業務の効率化・ガバナンスの強化、さらには業務改善のためのデータ活用への期待が広がる。

「今後は、カードの基本機能だけでなく、一歩進んで、内部管理に関わるDXを含めた、窓口や公共施設のキャッシュレスなど、自治体の完全キャッシュレス化をサポートするような提案をしていきたいと思います」(三井住友カード・矢部氏)。

「キャッシュレスを広げていくには、受け皿として、そのデータを活用してできることを増やしていく必要があります。それを作っていくのが今回の連携で、キャッシュレス起点のDXモデルを作り、自治体の業務効率化、ガバナンス強化に貢献していきます」(コンカー・長谷氏)。

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TEL:03-6365-0552 榊原(さかきばら)
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