「姥捨て山」批判から一転、好事例が展開 CCRCで地域が変貌

「姥捨て山」「首都圏の介護問題のつけかえ」と批判を受けた日本版CCRC。第二期総合戦略では「全世代と地元住民視点」の方針転換で、推進意向自治体は約400に倍増。各地で官民の好事例が進展中だ。2010年からCCRCの有望性を提唱する三菱総合研究所の松田智生主席研究員が展望を語る。

なぜCCRCは批判されるのか
政策変遷と方針変換

CCRC(Continuing Care Retirement Community)とは継続的なケアが提供される高齢者の共同体で、全米で約2,000カ所、約70万人が居住、約4兆円の市場を持つ1)。高齢者のQOL(生活の質)向上、地域の雇用創出、企業の新ビジネスという民公産の三方一両得を生み出しており、私は2010年から一貫してその有望性を提唱している。CCRCの本質は、カラダ(健康・介護支援)、オカネ(生活コスト)、ココロ(生きがい)の3つの充足であり、2015年に三菱総合研究所で発表した日本版 CCRCの提言では、その理念を「健康で元気で輝き続けるコミュニティ」と称した。

ちょうど2015年から始まった地方創生でCCRCが注目され、政府で日本版CCRC構想有識者会議が発足、私も委員として参画した。CCRCは「生涯活躍のまち構想」と称され、その意義は①高齢者の希望の実現、②地方へのひとの流れの推進、③東京圏の高齢化問題だったが2)、対外的には②と③が注目され、「高齢者の地方移住」の先入観や「地方に姥捨て山」との批判を受けることになった。

しかし人のライフスタイルが多様なように住む場所も多様であるべきで、CCRCは地方移住ありきではない。さらに移住者だけでなく地元住民の視点も重要である。そこで2018年から私も参加し内閣官房で方針展開が進み、2020年からの第2期総合戦略では「誰もが居場所と役割を持って活躍できるコミュニティづくり」という基本コンセプトのもと『全世代・全員活躍型「生涯活躍のまち」』と名称を変更した3)。具体的には「高齢者の地方移住」から「地元住民」起点に、対象世代を「全世代」に拡大、そしてサービス付高齢者住宅(サ高住)設置起点から「コミュニティづくり」に変わったことである。その機能は「活躍・しごと」、「交流・居場所」、「住まい」、「健康」の4つに加えて、「関係人口」による都市と地方の人材循環が示された。この方針転換が支持を集め、2020年の推進意向自治体は421と2015年比で倍増している4)

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り68%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。