イワミノチカラ 地域を開いて、価値ある田舎体験を創出

観光客が出雲などの東部に集中しがちで、いかに西部に観光客を誘致するかが課題となっている島根県。その西部地域において、「地域の人々自身が地域資源を再発見する機会」と「県内外の人々との交流機会」を創出しているのが、2013年に始まったイベント「いわみん」だ。

三瓶山にある牧場でのアウトドアクッキング体験、江津本町にある空き店舗のDIYリノベーション体験、銀山の産業遺跡を巡るウォーキング......。これらは、昨秋に島根県の石見エリアで開催された地域遊びイベント「いわみん」のプログラムの一部だ。

地域遊びイベント「いわみん」のプログラム例。上より、藻塩作り体験、石見神楽体験、里山ハイキング。昨年はオンラインプログラムも開催した

2013年にスタートした「いわみん」は、過去13回で600を超えるプログラムを開き、参加者は延べ8241人にのぼる。プログラムを主催するのは、「案内人」と呼ばれる地域住民だ。この仕組みによって地元住民と島根県内外からやってくる参加者たちとの交流が生まれている。このイベントを始めたのは、一般社団法人イワミノチカラの伊藤康丈氏である。

伊藤 康丈(イワミノチカラ 代表理事)

オンパクを参考に企画した
地域遊びイベント「いわみん」

石見エリアの一角、江津市の出身の伊藤氏は、大学卒業後、都内の大手ゲームメーカーに就職した。それから15年ほど経った頃、会社が業績不振に陥り、2年連続で希望退職を募る。地元に貢献できる仕事をしようと退職し活動を行うが、2011年の東日本大震災をきっかけに「故郷で暮らしたい」という想いが募り、同年、島根県ビジネスプランコンテストに応募し、市街地部門優秀賞を受賞したのを機に、故郷にUターンした。

「このコンテストで提案したのが、『いわみん』の原案になるアイデアです。東京に住んでいた時、たまたまテレビで別府温泉から始まった期間限定の交流体験イベント『温泉泊覧会』(オンパク)を観て、これだ!と閃き、同じような取り組みを故郷で展開しようと考えました」

帰郷した伊藤氏は、2012年に任意団体「イワミノチカラ」を設立(2018年法人化)。この名称には、「石見の力」と「石見の地から」という2つの意味を込めたという。

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